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セクハラによる精神障害の労災認定基準を見直し

「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」の職場における心理的負荷評価表のなかで、セクハラは「強度Ⅱ」にあたる出来事と位置づけられています。
もっとも、一口にセクハラといっても、その心理的負荷の強さは様々です。
そこで、厚生労働省では、精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会に、女性問題に詳しい法学、医学の専門家による「セクシュアルハラスメント事案に係る分科会」を設け、セクハラによる精神障害の労災認定の基準やその運用のあり方について検討し、同分科会が報告書をまとめました。
セクハラを受けたという出来事の平均的な心理的負担の強度をⅡとしたうえで、Ⅲ(強い心理的負荷)に修正する要素を具体的に示すなど、認定基準の見直しの方向性が打ち出されています。
■ 心理的負荷の程度と評価方法

その行為があっただけで強度Ⅲに修正する特別な出来事等の例として、「強姦や、本人の意思を抑圧して行なわれたわいせつ行為など」が挙げられました。
また、行為の態様や反復継続の程度等をふまえて、強度をⅢに修正するものの例として、次の基準が示されました。

・胸や腰等への身体接触を含むセクハラで継続して行なわれた事案 ・胸や腰等への身体接触を含むセクハラで行為は継続していないが、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかったまたは会社への相談等の後に職場の人間関係が悪化した事案 ・身体接触のない性的な発言のみのセクハラで、発言のなかに人格を否定するようなものを含み、かつ継続してなされた事案 ・身体接触のない性的な発言のみのセクハラで、性的な発言が継続してなされ、かつ会社がセクハラがあると把握していても適切な対応がなく、改善されなかった事案

ここで挙げられた事案に該当しなくても、深刻なセクハラについては、Ⅲに修正すべき場合があることに留意すべきともしています。一方、次のような事案については、行為の態様等を要素として、強度Ⅰ(弱い心理的負荷)に修正することが適当とされています。

・「○○ちゃん」等のセクハラに当たる発言をされた事案 ・職場内に水着姿の女性のポスター等を掲示された事案
■ 特殊性をふまえた留意事項

そのほか、勤務を継続したいという心理からやむを得ず行為者の誘いを受け入れた(被害者の同意があったと簡単に判断すべきではない)、被害を受けてもすぐに相談行動をとれないことがある、などの心理的負荷の評価にあたって留意すべき事項等も示されました。
厚生労働省はこの報告を受け、これから労災認定基準の見直しを進めていくことになります。セクハラ被害が「強い心理的負荷」と判断されやすくなれば、労災として認められる可能性は高まりそうです。

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