有給休暇に関する法改正/働き方改革
2018年6月29日、いわゆる働き方改革関連法案が国会で成立しました。有給休暇については、第1回で触れた計画年休の義務化が2019年4月1日より施行されます。現在、労働者が年5日の有給休暇を取得できていない場合、施行日に向けて、使用者は積極的に労働者の有給休暇取得に関与していかなければなりません。
その他改正事項として、主なところでは
その他改正事項として、主なところでは
○残業時間の上限規制(原則月45時間、年360時間)
※2019年4月1日より施行。中小企業への適用は2020年4月1日より。 ○月60時間超過の時間外労働に対する割増賃金率にかかる中小企業への猶予措置の廃止
※2023年4月1日より施行。 ○正規雇用者とそれ以外の不合理な待遇差を解消するための規定の整備
※2020年4月1日より施行。中小企業への適用は2021年4月1日より。
などがあります。※2019年4月1日より施行。中小企業への適用は2020年4月1日より。 ○月60時間超過の時間外労働に対する割増賃金率にかかる中小企業への猶予措置の廃止
※2023年4月1日より施行。 ○正規雇用者とそれ以外の不合理な待遇差を解消するための規定の整備
※2020年4月1日より施行。中小企業への適用は2021年4月1日より。
有給休暇は時間単位で取得できる
1988年法改正で、それまで認められなかった有給休暇の半日単位取得が、使用者の同意により可能となりました。
その後、2008年法改正で、2010年4月から、労使協定で定めることにより有給休暇を時間単位で取得できることになりました(労使協定で定めることを就業規則に入れることが必要です)。
その後、2008年法改正で、2010年4月から、労使協定で定めることにより有給休暇を時間単位で取得できることになりました(労使協定で定めることを就業規則に入れることが必要です)。
これにより、朝や夕方に用事がある場合でも、労働者が遅刻や早退といった扱いをされずに済ませることができるようになり、1日や半日丸々休む必要もなくなりました。
半日休暇や時間休暇は、今回の法改正における計画年休の取得のように、使用者に課せられた義務ではありません。それでも、このような制度があることで、労働者の働き方に対する要望へ柔軟に対応してくれる企業として、イメージアップが期待されます。
しかし、使用者にしてみれば、日数管理だけでも手間のかかる有給休暇について、さらに時間単位で管理しなければならなくなります。それでは時間単位での管理にあたって気を付けるべきは何でしょうか。
有休として取得できる時間数は次のように算出します。
まず、時間単位で取得できる有給休暇の日数は5日を上限としており(半日休暇はこの限りではありません)、1日の所定労働時間で1時間未満の時間がある場合は、その時間を1時間に繰り上げることとしています。
そのため、1日の所定労働時間が7時間30分の企業であれば、1時間未満である30分を繰り上げるので、5日×8時間(ここで繰り上げます)として年間40時間まで時間有休の取得ができることになります。
半日休暇や時間休暇は、今回の法改正における計画年休の取得のように、使用者に課せられた義務ではありません。それでも、このような制度があることで、労働者の働き方に対する要望へ柔軟に対応してくれる企業として、イメージアップが期待されます。
しかし、使用者にしてみれば、日数管理だけでも手間のかかる有給休暇について、さらに時間単位で管理しなければならなくなります。それでは時間単位での管理にあたって気を付けるべきは何でしょうか。
有休として取得できる時間数は次のように算出します。
まず、時間単位で取得できる有給休暇の日数は5日を上限としており(半日休暇はこの限りではありません)、1日の所定労働時間で1時間未満の時間がある場合は、その時間を1時間に繰り上げることとしています。
そのため、1日の所定労働時間が7時間30分の企業であれば、1時間未満である30分を繰り上げるので、5日×8時間(ここで繰り上げます)として年間40時間まで時間有休の取得ができることになります。
※計算の順序としては、5日×7時間30分=37時間30分としてから繰り上げて38時間とするのではないことに留意が必要です。
有給休暇日数は3ケタまで保有できるのか
2017年に成立した民法(債権分野)の大改正(2020年4月1日施行)で、現在の1ヶ月から10年まで膨大な切り分けがなされている時効の期間が、「原則5年」にまとめられることになりました。
一方、労働基準法における時効は、退職金の請求権が5年である以外、原則2年です。そこで、労働者の保護を図るべき労働基準法の時効期間が民法より短いのはおかしい、という意見が出るようになりました。
これを受けて、厚生労働省は有識者を集めて、定期的に「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」(以下、「検討会」)を開催しています。
仮に有給休暇の権利行使にかかる時効が5年に延長されますと、毎年20日の有給休暇が付与される従業員には最大100日の有給休暇がストックされ、一気に使おうと思えば約5ヶ月間の休暇が取得できる理屈になります(使用者による時季変更権は認められます)。
はたして、実現するのでしょうか。
一方、労働基準法における時効は、退職金の請求権が5年である以外、原則2年です。そこで、労働者の保護を図るべき労働基準法の時効期間が民法より短いのはおかしい、という意見が出るようになりました。
これを受けて、厚生労働省は有識者を集めて、定期的に「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」(以下、「検討会」)を開催しています。
仮に有給休暇の権利行使にかかる時効が5年に延長されますと、毎年20日の有給休暇が付与される従業員には最大100日の有給休暇がストックされ、一気に使おうと思えば約5ヶ月間の休暇が取得できる理屈になります(使用者による時季変更権は認められます)。
はたして、実現するのでしょうか。
本稿執筆時点で、「検討会」第3回までの議事録がアップロードされています。これまでの議事録を見ると、有給休暇の時効延長は有識者の間でも賛否あるようです。
賛成の主張は、本コラム第1回「有給休暇の取得義務化に、どう対応する?」でも触れたとおり、有給休暇の消化が芳しくないことが取り上げられ、反対の主張は、有給休暇はその付与された年次に完全消化することが予定されているのだから延長不要といったことが取り上げられているようです。
諸外国の例として、フランスでは原則として、有給休暇を消化しきれなかった労働者がいる場合は使用者が罰せられることになっています。ただ、日本でどのように決まるのか、方向性はまだ定まっていないようです。今後の展開が気になるところです。
賛成の主張は、本コラム第1回「有給休暇の取得義務化に、どう対応する?」でも触れたとおり、有給休暇の消化が芳しくないことが取り上げられ、反対の主張は、有給休暇はその付与された年次に完全消化することが予定されているのだから延長不要といったことが取り上げられているようです。
諸外国の例として、フランスでは原則として、有給休暇を消化しきれなかった労働者がいる場合は使用者が罰せられることになっています。ただ、日本でどのように決まるのか、方向性はまだ定まっていないようです。今後の展開が気になるところです。
(参考)「賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討会」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou_503103.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou_503103.html