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[第3回] 時間外労働の上限規制(1)

2019年1月15日更新

有給休暇、時間外労働……etc. 働き方改革関連法の概要と実務対応

[第3回] 時間外労働の上限規制(1)

[小宮 弘子氏(特定社会保険労務士)]
第3回から第4回までは、時間外労働の上限規制(新36協定への対応)を取り上げます。今回は、改正の概要(何が、いつから、どう変わる)について説明します。

改正後の時間外労働は何がどう規制されるのか

時間外労働や休日労働に関する改正の全体像は、次の通りとなります。
  現行 改正後
1日8時間、週40時間を超える労働をさせる場合 36協定の締結・届出要 変更なし
36協定を締結した場合の時間外労働の限度時間 月45時間以内かつ年360時間以内 変更なし
延長時間の管理単位 1日・1日を超える期間・1年 1日・1ヶ月・1年
法定休日労働の限度 36協定で締結した回数と時間の限度内 36協定で締結した回数と時間の限度内
時間外労働と合わせた規制あり
特別条項を付けた場合の時間外労働の上限時間 特になし 年720時間
特別条項の上限回数 適用は年の半分(※) 年6回
その他の規制 特になし
・単月の上限時間
法定休日労働を含めて月100時間未満
 
・平均の上限時間
法定休日労働を含めて2~6ヵ月いずれの平均でも月80時間以内
限度時間の根拠や罰則 限度基準告示/大臣告示 法律/罰則適用
※月(45時間以内)単位で限度時間を決めている場合は年6回
3ヵ月(120時間以内)単位で限度時間を決めている場合は年2回
<改正内容のポイント>

・時間外労働は、特別条項を付けても年720時間が上限

・法定休日労働を含めた限度時間(単月、2~6ヶ月平均)が新設

・これら時間の規制は、法律に格上げ(規制の強化)

・時間外労働と法定休日労働を合わせた年間限度時間は960時間


(厚生労働省の資料をもとに筆者加筆)

<罰則>

いつから改正後の取扱いが適用されるのか

労働基準法の改正による時間外の上限規制は、2019年4月(中小企業は2020年4月)から施行されます。
新36協定の適用開始時期
◆大企業 :2019年4月1日以後の期間のみを定めている36協定から
◆中小企業:2020年4月1日以後の期間のみを定めている36協定から
<施行日以前の期間が含まれる36協定の取扱い>
36協定の協定期間は、必ずしも毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間とは限りません。このため、36協定の協定期間と新基準の適用について、経過措置が設けられています。

例)2018年10月1日から2019年9月30日までの1年間の協定を締結する場合
2019年4月1日以後の期間のみで定められていないため、この協定期間は、旧労働基準法が適用されます。したがって、2019年9月30日までは上限規制の適用を受けません。

※中小企業の範囲:企業単位、いずれかに該当すれば中小企業

執筆者プロフィール

小宮 弘子氏(特定社会保険労務士)
大手都市銀行本部および100%子会社で人事総務部門を経験後、2003年にトムズ・コンサルタント株式会社に入社、現代表取締役社長。人事・労務問題、諸規程、賃金・評価制度の改定をはじめ、社内制度全般のコンサルティングを中心に行なう。
著書に『この1冊でポイントがわかる 「働き方改革」の教科書』(共著、総合法令出版)、『ストレスチェックQ&A』(共著、泉文堂)などがある。
事務所ホームページ(https://www.tomscons.co.jp/)
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