フレックスタイム制とは
一定の期間(清算期間)について定めた総労働時間の範囲内で、労働者が日々の始業・終業時刻を自ら決めることができる制度です。仕事と生活のバランスを図りながら効率的に働くことができる制度です。また、フレキシブルタイムの途中で中抜けするなどといったことも可能です。
フレックスタイム制の改正概要
- 清算期間の上限を3ヶ月に延長(現行1ヶ月)
- 清算期間が1ヶ月を超える場合、以下のア・イのいずれかを超えた時間について割増賃金の支払が必要
ア.清算期間の総労働時間のうち法定労働時間の総枠(※)
(清算期間全体の労働時間のうち週平均40時間)イ.清算期間内の1ヶ月ごとの労働時間のうち週平均50時間 - 清算期間が1ヶ月を超え3ヶ月以内の場合に限り、フレックスタイム制に係る労使協定を労基署に届け出る
- 完全週休2日の場合は、労使協定により、所定労働日数に8時間を乗じた時間数を法定労働時間の総枠にできる。
清算期間の暦日数
7日清算期間の暦日数 | 1ヶ月の法定労働時間の総枠 |
31日 | 177.1時間 |
30日 | 171.4時間 |
29日 | 165.7時間 |
28日 | 160.0時間 |
清算期間が1ヶ月を超える場合は労使協定の届出が必要
フレックスタイム制を導入する場合、就業規則の規定や労使協定の締結が必要となりますが、清算期間が1ヶ月を超える場合は、労使協定を労働基準監督署への届出が必要となります。労使協定に定めるべき事項
労使協定に定めるべき事項は、次のとおりです。- フレックスタイム制を適用する労働者の範囲
- 清算期間(3ヶ月以内)
- 清算期間における総労働時間(清算期間の総所定労働時間)
- 標準となる1日の労働時間(年次有給休暇取得の際の基準時間)
- コアタイム(任意/必ず働かなければならない時間帯)
- フレキシブルタイム(任意/労働者自らが労働時間を決定できる時間帯)
完全週休2日制の場合の法定総労働時間の取扱い
カレンダーの曜日の巡りによって、1日8時間相当の労働であっても、清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えることがありました。今回の改正では、この問題が解消できるようになりました。
具体的には、週の所定労働日数が5日(完全週休2日)の労働者を対象に、労使協定に定めることによって「清算期間内の所定労働日数×8時間」を総労働時間の限度にすることが可能となりました。
例)暦日31日の月で、月の所定労働日数が23日の場合
完全週休2日で標準となる1日の労働時間は7時間45分
改正前
総労働時間が法定労働時間の総枠を超えてしまい、完全週休2日であるにもかかわらず時間外労働が発生し、割増賃金の支払が必要。清算期間における総労働時間=23日×7時間45分=178時間15分=178.25時間
法定労働時間の総枠=40時間÷7日×31日=177.1時間
改正後
清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠に収まる。清算期間における総労働時間=23日×7時間45分=178時間15分=178.25時間
法定労働時間の総枠=23日×8時間=184時間
清算期間を延長することによる効果
清算期間を3ヶ月とすることにより、これまで以上に柔軟な働き方ができるようになります。たとえば、子育て中の労働者の場合、7・8・9月の3ヶ月のなかで労働時間の調整ができるため、8月の労働時間を短縮することで、夏休みに子どもと過ごす時間を確保することができます。その他仕事の繁閑に応じた労働時間の調整も可能になります。