2019年5月16日更新
こんなときどうする? 有給休暇の時季指定義務Q&A
[Q1] 全社員、4月1日までに一斉に時季指定をしなければいけないのでしょうか。
[山本喜一氏(社会保険労務士法人日本人事 代表社員)]
- 全社員、4月1日までに一斉に時季指定をしなければいけないのでしょうか。
- いいえ、そんなことはありません。
1. 対象者
年5日の年次有給休暇の取得をさせることが義務となる対象者は、「その年に、年次有給休暇が10日以上付与される労働者」です。
パートさんなどで、週の労働日数が少ない場合は、この対象となりません。ただし、パートさんなどであっても、週3日、週4日勤務の場合、勤続年数が長くなると、年次有給休暇が年間10日以上付与されるので注意が必要です。
週所定労働日数 |
1年間の所定労働日数 |
|
継続勤務年数 |
6か月 |
1年
6か月 |
2年
6か月 |
3年
6か月 |
4年
6か月 |
5年
6か月 |
6年
6か月以上 |
4日 |
169日~216日 |
付与日数 |
7日 |
8日 |
9日 |
10日 |
12日 |
13日 |
15日 |
3日 |
121日~168日 |
5日 |
6日 |
6日 |
8日 |
9日 |
10日 |
11日 |
2日 |
73日~120日 |
3日 |
4日 |
4日 |
5日 |
6日 |
6日 |
7日 |
1日 |
48日~72日 |
1日 |
2日 |
2日 |
2日 |
3日 |
3日 |
3日 |
2. 年次有給休暇の付与日
有給休暇の付与方法は会社によって様々です。原則としては、入社日から6ヵ月が経過した日に付与されますが、管理を簡便にするために、月の途中での入社している場合、その月の1日から6か月経過後を付与日としたり、労働者が多い場合は、4月1日などに全社員に一斉付与をするところもあります。
3. 年次有給休暇の付与期間
年5日の使用者による時季指定については、年次有給休暇の付与日から1年以内に5日となっていて、この法律が施行される2019年4月1日以降の最初の年次有給休暇付与日からこのルールが適用されます。
ですので、例えば2019年4月1日入社で、法律の原則通りの年次有給休暇の付与(入社6か月が経過した日)の場合、2019年10月1日から2020年9月30日までに5日間の年次有給休暇を取得させることが、会社の義務となります。
4. 年次有給休暇の時季指定のタイミング
年次有給休暇の付与日に5日すべての時季指定をすることも可能ですが、年次有給休暇を労働者が自由に使えるようにするためには、ある程度の期間(例えば6ヵ月など)をおいてから、年次有給休暇の取得が進んでいない労働者に対して、時季指定を行うことがよいでしょう。
会社が時季指定を検討するタイミングですでに労働者が自ら5日の年次有給休暇を取得している場合、会社が時季指定をする必要はなく、また、することもできません。