今回は、改正後の被扶養者の取扱いについて説明します。
現行の被扶養者要件
現行法における被扶養者の要件は次のとおりです。-
①主として被保険者の収入により生計を維持されている3親等内の親族であること
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②一定の親族については、①に加えて同一世帯であること
上述のとおり現行法では、被扶養者の範囲や生計維持の要件があるものの、被扶養者の居住要件は定められていません。
改正後の被扶養者認定の手続き
改正健康保険法の施行日(2020年4月1日)以降における被扶養者の認定手続きは、次のとおりとなります。- ①2020年4月1日以降は、日本年金機構における被扶養者認定の際、国内居住要件を満たしていることを確認のうえ認定する。
- ②認定後は、協会けんぽ等が毎年実施する被扶養者再認定等により確認する。
施行日までに被扶養者認定を受け、施行日時点で国内に居住していない場合
協会けんぽ等において、例外に該当するか、認定取消しとするか、必要な確認が行なわれます。具体的には、施行日時点で適切な資格管理ができるよう、「健康保険被扶養者(異動)届」(国内居住要件の例外に該当する旨の確認または該当しないことによる認定の取消しに関するもの)の提出を求めるなど、協会けんぽ等において必要な対応がなされます。
国内居住要件の例外と証明書類
国内居住要件の例外と必要な証明書類は、次のとおりです。国内居住要件の例外 | 証明書類 |
①外国において留学をする学生 |
査証、学生証、在学証明書、入学証明書等の写し |
②外国に赴任する被保険者に同行する者 |
査証、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書等の写し |
③観光、保養またはボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者 |
査証、ボランティア派遣機関の証明、ボランティアの参加同意書等の写し |
④被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者 |
出生や婚姻等を証明する書類等の写し |
⑤①から④までに掲げたもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者 |
厚生労働省保険局に相談しつつ個別に判断 |
2019年4月の入国管理法の改正により、これまで以上に外国籍の雇用者が増えることが見込まれるなか、被扶養者の国内居住要件が新たに追加されます。
企業の実務にも少なからず影響することが予想されますから、今後の行政からの情報に注意しましょう。