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派遣先として対応すべき派遣労働者の同一労働同一賃金(2)

2019年11月25日更新

人事労務News&Topics

派遣先として対応すべき派遣労働者の同一労働同一賃金(2)

[小宮弘子氏(特定社会保険労務士)]
前回は、2020年4月からの派遣法改正による派遣労働者の同一労働同一賃金対応について、主に派遣労働者の賃金の取扱いを説明しました。
今回は、同一労働同一賃金に絡んで変わる情報提供義務等の取扱いについてみていきましょう。

派遣先が新たに講じるべき措置

派遣先が新たに講じるべき措置は、次のとおりです。

①派遣料金交渉:料金交渉における待遇改善のための配慮

②教育訓練:業務遂行に必要な教育訓練の実施

③福利厚生:一定の施設は利用機会の付与、その他の施設は配慮

④情報提供:賃金決定方式に応じた提供義務と、その他の情報提供の配慮

⑤派遣先管理台帳:協定対象労働者か否かと、責任の程度について記載

「派遣料金交渉」について

派遣先は、派遣料金について、「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」による待遇改善が行なわれるよう配慮しなければなりません。
この配慮は、労働者派遣契約の締結・更新時だけではなく、締結・更新後にも求められます。

「教育訓練」について

派遣先は、派遣先の労働者に対して、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を実施する場合に、派遣元から求めがあったときは、派遣元が実施可能な場合等を除いて、派遣労働者に対して教育訓練を実施する等、必要な措置を講じなければなりません。

「福利厚生」について

①提供義務のあるもの
派遣先は、派遣先の労働者が利用する「給食施設」「休憩室」「更衣室」については、派遣労働者に対しても利用の機会を与えなければなりません。

②配慮義務のあるもの
「給食施設」「休憩室」「更衣室」以外で派遣先が設置・運営し、派遣先の労働者が通常利用している施設についても、利用の機会を与えるよう配慮しなければなりません。
具体的には、診療所、浴場、保育所、図書館、娯楽室、運動場等の施設です。

「情報提供」について

①提供義務のあるもの
前回も説明したとおり、派遣元は派遣労働者の賃金決定にあたり、「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」のいずれかを選択しなければなりません。
この派遣元による賃金決定方式により、派遣先で雇用される労働者(「比較対象労働者」といいます)の待遇に関する派遣元への情報提供の内容が異なります。
派遣先均等・均衡方式 派遣元は、派遣先から情報提供を受けて派遣労働者の待遇を決定するため、派遣先は派遣元に対し、派遣先で雇用される労働者の待遇に関する情報(職務内容、配置変更の範囲、各待遇の内容等)を提供する。
労使協定方式 派遣先で雇用される労働者に対して実施する教育訓練、福利厚生施設についての情報を提供する。

②配慮義務のあるもの
派遣先は、派遣労働者の段階的・体系的な教育訓練等が適切に講じられるようにするため、派遣元から求めがあったときは、派遣先で雇用される労働者に関する情報、派遣労働者の業務遂行の状況等、必要な情報の提供に協力するよう配慮しなければなりません。

「派遣先管理台帳」について

派遣先管理台帳に、「協定対象派遣労働者であるか否かの別」「派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度」について追加で記載する必要があります。
執筆者プロフィール

小宮弘子氏(特定社会保険労務士)
大手都市銀行本部および100%子会社で人事総務部門を経験後、2003年にトムズ・コンサルタント株式会社に入社、現代表取締役社長。人事・労務問題、諸規程、賃金・評価制度の改定をはじめ、社内制度全般のコンサルティングを中心に行なう。 著書に『この1冊でポイントがわかる 「働き方改革」の教科書』(共著、総合法令出版)、『ストレスチェックQ&A』(共著、泉文堂)などがある。

連載「人事労務News&Topics」

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