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新型コロナウイルス感染症に対する企業の対応

2020年3月19日更新

人事労務News&Topics

新型コロナウイルス感染症に対する企業の対応

[小宮弘子氏(特定社会保険労務士)]
新型コロナウイルス感染症の拡大に歯止めがかからず、WHOが「パンデミック」を表明するなど、世界規模で社会生活や経済に影響が出ています。
今回は、職場での感染を防止するための対策等について確認します。

政府による感染拡大防止に向けた取組みの要請

2020年2月26日に、経済産業相ら3閣僚から、連合・経団連等の労使団体に対して、職場での感染拡大の防止に向けて次の要請が行なわれました。
  1. 労働者に発熱等の症状が見られる際の休みやすい環境の整備
  2. 労働者が安心して休めるよう収入に配慮した病気休暇制度の整備
  3. テレワークや時差通勤の積極的な活用の促進 等

感染防止に向けた働き方

①時差出勤
時差出勤については、多くの企業において就業規則に根拠規定があると思われます。
また、時差出勤や営業時間の短縮等により、所定労働時間の勤務ができなくなる場合、自社の都合による時間短縮なのか不可抗力によるものなのかにより取扱いが異なります。状況に応じて適切に対応しましょう。

②テレワーク
テレワークを導入する場合は、
ア.テレワークを命じる根拠規定の有無
イ.テレワーク時の労働時間の取扱い
ウ.費用負担の取扱い
エ.情報セキュリティ
の4点について確認を行なう必要があります。
特に、事業場外みなし労働時間制を適用する場合は、みなし労働の適用要件や実際の労働時間との乖離に留意しましょう。

③その他
フレックスタイム制における暫定的なコアタイムの廃止等も考えられます。

職場における注意喚起

自社の従業員を守る、職場での感染拡大を防止するという観点から、以下の行動・取組みを従業員に対して呼びかけましょう。
  1. 自らできる適切な行動
    ~マスク着用と手洗いの徹底、咳エチケット 等
  2. 自ら感染の機会を作らない・減らす
    ~体調不良のときは無理をしないで休む 等
その他、多くの従業員が触るドアノブ、エレベーターボタン等を適宜、清掃するなど、職場環境にも留意しましょう。

感染した従業員を休業させる場合

新型コロナウイルスに感染し、都道府県知事が行なう就業制限により従業員が休業する場合は、労働基準法の「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと考えられ、休業手当の支払いは必要ありません。
健康保険制度に加入して要件を満たしている場合は、傷病手当金の対象になります。

感染が疑われる従業員を休業させる場合

職務の継続が可能であるにもかかわらず、会社の自主的な判断で休業させる場合は、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、労働基準法上の休業手当の支払いが必要となります。

学校の休校措置に対する対応

国の要請で始まった学校の休校措置に対して、「小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援」として、新たな助成金制度が設けられ、申請受付が開始されました。
小学校等の臨時休業等で従業員が休む場合に有給とすることを検討している企業は、新設の助成金制度の対象となるような取扱いにすることを検討しましょう。
新型コロナウイルスに関する企業の対応については、厚生労働省のサイトにQ&Aが掲載され、随時、更新されています。最新の情報をチェックするようにしてください。
執筆者プロフィール

小宮弘子氏(特定社会保険労務士)
大手都市銀行本部および100%子会社で人事総務部門を経験後、2003年にトムズ・コンサルタント株式会社に入社、現代表取締役社長。人事・労務問題、諸規程、賃金・評価制度の改定をはじめ、社内制度全般のコンサルティングを中心に行なう。 著書に『この1冊でポイントがわかる 「働き方改革」の教科書』(共著、総合法令出版)、『ストレスチェックQ&A』(共著、泉文堂)などがある。

連載「人事労務News&Topics」

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