本コラムでは、特に中小企業を中心とした支援措置について取り上げることにします。
持続化給付金制度の創設
<対象>新型コロナウイルス感染症の影響により、事業収入が前年同月比50%以上減少している中堅・中小企業または個人事業主
<支援策>
資本金10億円以下の中堅企業や中小企業に対しては200万円、個人事業主に対しては100万円を上限とする給付金制度が創設されます。 申請者の事務負担を軽減するため、申請は原則として電子申請となります。
納税等の猶予の特例
<対象>新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年2月から納期限までの任意の期間(1か月以上)で、収入が前年同期比でおおむね20%以上減少し、一時に納税することが困難である事業者(法人は規模を問わない)
<支援策>
2020年2月1日から2021年1月31日までに納期限が到来する国税・地方税のすべての税目(印紙で納めるものや証紙による徴収を除きます)につき、その納税等が1年間猶予されます。
今般の特例では、納税が猶予される場合でも担保の提供を不要とし、また延滞税や延滞金は免除されます。なお、特例の適用には申請が必要です。
欠損金の繰戻し還付の拡充
<対象>青色申告書を提出する中堅・中小企業
<支援策>
青色欠損金の繰戻しによる還付請求は、資本金1億円以下の中小企業に限定されていますが、2020年2月1日から2022年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金については、特例として資本金1億円超10億円以下の中堅企業にもその対象が拡充されます。
テレワーク等のための設備投資税制
<対象>テレワーク環境整備のために必要な設備のうち、経営力向上計画に記載された設備の取得等をした中小企業者等
<支援策>
中小企業者等がテレワーク等のため、遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当するデジタル化設備を新たに導入した場合には、即時償却または7%(資本金3,000万円以下の法人は10%)の税額控除が適用できます。
※緊急経済対策とは別に、労災保険が適用される一定の中小企業事業主のうち、2020年2月17日~5月31日までに新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する場合には、100万円を上限として、導入コストの2分の1が助成されます。
消費税の課税事業者選択届出書等の特例
<対象>新型コロナウイルス感染症の影響により、1か月以上における売上が前年同期比でおおむね50%以上減少した事業者
<支援策>
申請により、課税期間開始後における消費税の課税選択に係る適用または不適用の変更を可能とする特例が創設されます。
この特例による場合には、課税事業者を選択した場合であっても2年間の継続適用要件はなく、翌課税期間に適用を取り止めることも認められます。
特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税
<対象>新型コロナウイルス感染症により経営に影響を受けた事業者と金融機関等との消費貸借契約
<支援策>
公的金融機関や民間金融機関等が行なう特別貸付制度による貸付けに係る契約書への印紙税は非課税とされます。
固定資産税の減免
<対象>2020年2月から同年10月までの期間において、任意の3か月間の売上高が前年同期比30%以上減少している中小企業者等
<支援策>
2021年度の課税分に限り、次に掲げる区分に応じ、それぞれ減免措置が講じられます。減免の対象は償却資産と事業用家屋とし、申告に際し虚偽の記載をした場合には罰則が科せられます。
・3か月間の売上高の減少が前年同期比30%以上50%未満→50%減額
・3か月間の売上高の減少が前年同期比50%以上→全額免除
生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例措置の拡充と延長
<対象>認定先端設備等導入計画に従って先端設備等を新たに取得した中小企業者等
<支援策>
特例措置の対象資産に事業用家屋と構築物を追加し、生産性向上特別措置法の改正を前提として、2022年度まで適用期限が2年間延長されます。