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新型コロナウイルスの影響による資金繰り支援

2020年4月17日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

新型コロナウイルスの影響による資金繰り支援

[田中康雄氏(税理士)]
新型コロナウイルス感染症の拡大により、経済活動が急速な縮小傾向にあるなかで、中小企業や個人事業主を支援するため、国により新たに持続化給付金制度が創設され、各自治体でも独自の給付金制度への取組みが進んでいます。
しかし、先行きが不透明な状況のなかでは、給付金を受給しても資金繰りを十分に安定させるほどの効果があるとは言い切れません。
そこで、本コラムでは、新型コロナウイルス感染症により影響を受けている中小企業に対する金融支援策について取り上げます。

融資による資金繰り支援の概要

新型コロナウイルスの影響による資金繰りの悪化に対しては、実質無利子での融資や金利の引下げ、貸付要件の緩和などの対策が講じられています。
また、特に業績悪化が見込まれる飲食店業や旅館・ホテル業などの生活衛生関係の事業者に対しては、別途支援策が用意されています。

無担保・無利子融資による支援

<利子補給による実質無利子化が可能な融資>

※金利引下げの対象となる融資の額にはそれぞれ限度額があります。

(1)日本公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付

日本公庫(日本政策金融公庫)は、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に業況が悪化した事業者のうち、次の①または②に該当する一時的な業績悪化が認められ、かつ中長期的に業況の回復・発展が見込まれる場合には、その事業者の信用力や担保にかかわらず金利を一律とした別枠での支援を実施し、さらに下掲(6)特別利子補給制度との併用が可能な場合には、実質的に無利子となります。

①最近1か月の売上高が前年または前々年の同期比5%以上減少した場合

②業歴3か月以上1年1か月未満の場合など、前年(前々年)同期との比較ができないときは、最近1か月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少した場合

・過去3か月(最近1か月を含む)の平均売上高

・2019年12月の売上高

・2019年10月~12月の平均売上高

(2)商工中金の危機対応融資(新型コロナウイルス感染症特別貸付)

商工中金(商工組合中央金庫)は、新型コロナウイルス感染症による影響により、上記(1)①または②に掲げる一時的な業績悪化が認められる事業者に対し、その信用力や担保にかかわらず金利を一律とした支援を実施し、さらに下掲(6)特別利子補給制度との併用が可能な場合には、実質的に無利子となります。


(3)マル経融資(新型コロナウイルス対策マル経)

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は、商工会等の経営指導員による経営指導を受けた小規模事業者に対し、日本公庫が行なう融資制度です。
マル経融資では、新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1か月の売上高が前年または前々年の同期比5%以上減少した小規模事業者に対し、新型コロナウイルス対策特枠として別枠での支援を実施し、さらに下掲(6)特別利子補給制度との併用が可能な場合には、実質的に無利子となります。


(4)生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付

日本公庫は、飲食店業や旅館業などの生活衛生関係の事業者のうち、新型コロナウイルス感染症の影響により、上記(1)①または②に掲げる一時的な業績悪化が認められ、かつ中長期的に業況の回復・発展が見込まれる場合には、担保の有無にかかわらず金利を一律とした別枠での支援を実施し、さらに下掲(6)特別利子補給制度との併用が可能な場合には、実質的に無利子となります。


(5)生活衛生改善貸付(新型コロナウイルス対策衛経)

日本公庫は、生活衛生同業組合などの経営指導を受けている生活衛生関係の事業者のうち、新型コロナウイルス感染症の影響により、最近1か月の売上高が前年または前々年の同期比5%以上減少した小規模事業者に対し別枠での支援を実施し、さらに下掲(6)特別利子補給制度との併用が可能な場合には、実質的に無利子となります。


(6)特別利子補給制度

上記の融資を受けた事業者のうち、次の①~③に掲げる事業者に対しては、一定の融資額を上限として、借入れ後の当初3年間は利子補給を実施することで実質無利子化を実現します。

①個人事業主(フリーランスを含み、小規模に限定)…要件なし

②小規模事業者(法人)…売上高15%以上減少

③中小企業者(①、②以外)…売上高20%以上減少

【小規模模要件】

・製造業、建設業、運輸業、その他業種は従業員20名以下

・卸売業、小売業、サービス業は従業員5名以下

その他の融資による支援

(1)衛生環境激変対策特別貸付

日本公庫が実施する国民生活事業では、感染症等の発生による衛生環境の著しい変化によって一時的に業況が悪化した生活衛生関係営業者に対して特別貸付制度を設けています。
新型コロナウイルス感染症の発生により、次の①、②のいずれにも該当する旅館業や飲食店営業、喫茶店営業を営む事業者に対しては、別枠で一定の融資制度が創設されています。

①最近1か月間の売上高が前年または前々年の同期比10%以上減少し、かつ、今後も売上減少が見込まれること

②中長期的に業況が回復し発展が見込まれること

貸付の内容は以下のとおりです。

<資金使途>運転資金

<貸付期間>7年以内(うち据置期間2年以内)

<融資限度額>別枠1,000万円(旅館業は別枠3,000万円)

<利率>基準利率1.91%(振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合の組合員は0.9%引下げ、貸付期間や担保の有無等で変動)

(2)セーフティネット貸付(特例措置)

セーフティネット貸付は、社会的、経済的環境の変化などの外的要因によって一時的に売上が減少したものの、中期的に回復し発展することが見込まれる中小企業を支援するために日本公庫が実施する融資制度です。
特例措置では、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、売上の減少幅などの数値要件を設けず、また融資対象を今後の影響が見込まれる事業者にも拡大するなど、貸付要件が緩和されています。
貸付の内容は以下のとおりです。

<資金使途>運転資金、設備投資

<貸付期間>運転資金8年以内、設備資金15年以内(うち据置期間3年以内)

<融資限度額>中小企業事業7.2億円、国民生活事業4,800万円

<金利>基準金利:中小企業事業1.11%、国民生活事業1.91% (貸付期間5年、貸付期間や担保の有無等で変動)

(3)セーフティネット保証

新型コロナウイルス感染症の影響により、信用保証協会による一般保証枠とは別枠で設けられたセーフティネット保証のうち、突発的災害(4号)と業績悪化業種(5号)による支援が講じられるとともに、さらに別枠で危機関連保証が措置されます。
これらを活用する場合には、一定の要件に該当すれば、実質無利子や無担保、保証料の減免の適用を受けることが可能となります。
新型コロナウイルスの影響に対する金融支援の利用にあたっては、日本公庫の各支店の窓口または最寄りの取扱金融機関にご相談ください。
なお、これらの金融支援策の内容は随時更新されています。今後も変更等が予想されるため、新しい情報には十分にご留意ください。
●新型コロナウイルス関連相談窓口一覧<経済産業省>
https://www.meti.go.jp/covid-19/sodan_madoguchi.html

●新型コロナウイルス支援策パンフレット<経済産業省>(PDF)
https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
執筆者プロフィール

田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方[第2版]』(税務経理協会)、『こんなに使える試験研究費の税額控除』(税務経理協会)。
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