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中小企業経営強化税制(C類型)の拡充

2020年6月22日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

中小企業経営強化税制(C類型)の拡充

[田中康雄氏(税理士)]
中小企業経営強化税制では、これまで優遇措置の適用対象となる設備は、「生産性向上設備(A類型)」と「収益力強化設備(B類型)」の2種類でした。
今般の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の一つとして、新たに「デジタル化設備(C類型)」が追加されました。

中小企業経営強化税制の概要

中小企業経営強化税制とは、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づいて一定の設備を取得した場合、即時償却またはその取得価額の7%(資本金が3,000万円以下の場合は10%)相当の税額控除を選択適用できるという中小企業者等に対する設備投資への優遇税制です。

C類型の対象設備

新たにC類型として追加された「デジタル化設備」とは、デジタル化を通じた業務の促進のための遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする特定経営力向上設備等をいいます。

(1)対象資産と規模

対象資産と規模(金額)は次のとおりです
種類 規模(金額)
機械・装置 1台または1基の取得価額が160万円以上のもの
工具、器具・備品 1台または1基の取得価額が30万円以上のもの
建物附属設備 一の取得価額が60万円以上のもの
ソフトウエア 一の取得価額が70万円以上のもの

(2)デジタル化設備のための要件

デジタル化設備は、デジタル技術を用いて、次のいずれかに該当する投資計画を達成するための設備となります。
種類 要件
①遠隔操作

・事業を非対面で行なえるようにすること

・事業に従事する者が、通常の業務を、出勤している場所以外の場所で行なえるようにすること

(例)遠隔医療相談サービス、遠隔教育、テレワーク 等
②可視化

・現に実施している事業や工程に関するデータの集約・分析を行なうこと

・事業プロセスに関する最新の状況を把握し、経営資源等の最適化を行なえるようにすること

(例)適正な人員配置、生産量調整等の製造工程の管理、輸送量調整 等
③自動制御化

・現に実施している事業の工程に対し、経営資源等の最適化のため、状況に応じて自動的に指令を行なえるようにすること

(例)工場の製造工程における自動制御化 等

中小企業経営強化税制適用までの流れ

C類型では、B類型と同様に、経営力向上計画を策定する前に投資計画を策定し、所轄の経済産業局の確認を受けることになります。
また、投資計画については、事前に認定経営革新等支援機関(支援機関)による確認が必要となるのもB類型と同じです。
C類型における中小企業経営強化税制の適用までの一連の流れは次のとおりです。

(1)デジタル化設備の導入の検討

設備の導入にあたり、C類型の適用を受けることができるデジタル化設備の要件を満たしているかを検討し、経済産業局に提出する「確認申請書」を作成します。

(2)支援機関への確認依頼

作成した申請書は、経済産業局に提出する前に支援機関の確認を受ける必要があります。B類型では、投資利益率を算定しますが、C類型では、前出の(2)デジタル化設備のための要件の表に掲げる「デジタル化設備の該当性に関する判定」を行ないます。
支援機関においては、経済産業局に提出される確認申請書とこれを作成するための根拠資料との間に齟齬がないかを確認し、問題がなければ「事前確認書」を発行・交付します。

(3)経済産業局への申請

経済産業局への申請に際しては、事前に確認を受けた確認申請書と、支援機関からの事前確認書その他の必要書類を添付し、所轄の経済産業局に連絡したうえで郵送します。
特に注意が必要なのは、この時点ですでに設備を取得している場合には、その設備に対する申請はできないことです。設備の取得は、必ず申請後でなければなりません。
経済産業局からは、資料等に不備がなければ1か月程度で「確認書」が交付されます。

(4)経営力向上計画の申請

経済産業局による確認を受けた設備について、経営力向上計画にこれを記載し、各事業分野の担当省庁(主務大臣)による認定を受けます。
経営力向上計画の「認定申請書」の提出にあたっては、(3)で経済産業局に提出した確認申請書とその確認書の写しを添付します。
経営力向上計画の認定についても、記載等に不備がなければ1か月程度で「認定書」が交付されます。

(5)税務申告

経営力向上計画に従って取得したデジタル化設備については、法人税において中小企業経営強化税制による優遇措置の適用を受けることができます。
税務申告にあたっては、(3)の経済産業局からの確認書、(4)の主務大臣への認定申請書とその認定書の写しを添付します。
執筆者プロフィール

田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方[第2版]』(税務経理協会)、『こんなに使える試験研究費の税額控除』(税務経理協会)。
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