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2021年度(令和3年度)の固定資産税・都市計画税の軽減措置

2020年7月6日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

2021年度(令和3年度)の固定資産税・都市計画税の軽減措置

[田中康雄氏(税理士)]
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の一つとして、中小企業を対象に、事業収入の減少割合に応じた固定資産税・都市計画税(固定資産税等)の軽減措置が講じられました。
この軽減措置の適用を受けるためには、市町村への申請にあたり、事前に認定経営革新等支援機関(支援機関)による確認が必要となります。
本コラムでは、法人による固定資産税等の軽減申請までの一連の流れについて確認していきます。

概要

2020年2月~10月までの任意の連続する3か月間の事業収入が、前年同期間と比べて減少している場合に、2021年度の固定資産税等の課税標準について、減少の程度に応じてそれぞれ次に掲げる軽減措置が適用されます。

・前年同期比△30%以上△50%未満の場合・・・2分の1

・前年同期比△50%以上の場合・・・・・・・・全額

軽減措置の対象税目は、設備等の償却資産に対する固定資産税と、事業用家屋に対する固定資産税・都市計画税です。対象資産に土地は含まれません。
また、「3か月間」の期間については必ず連続している期間とし、新型コロナウイルス感染症防止のため事業を休業している期間がある場合にも、これを含めてカウントします。
「事業収入」には、給付金や補助金収入、事業外収入は含まれません。事業収入の減少の判定は、中小事業者等が営む事業すべてに係る収入の合計額で行ない、事業の種類ごとや店舗ごとでの判定はできません。
市町村の申請の受付は2021年1月の予定で、申請期限は同年1月末日となります。

申請までの流れ

(1)認定経営革新等支援機関への確認依頼

市町村に軽減申請をする前に、まずは、以下の3点につき支援機関による確認を受ける必要があります。

①中小事業者等であること
「中小事業者等」とは、法人の場合、資本金もしくは出資金の額が1億円以下または資本もしくは出資を有しない法人のうち従業員数が1,000人以下の法人(一定の大規模法人の子会社を除きます)をいいます。
この要件に該当するかどうかは、登記簿謄本の記載事項や確認依頼をした法人から提出される大企業の子会社でない旨の誓約書によって確認が行なわれます。

②事業収入の減少
事業収入の減少は、2020年2月~10月までの連続する3か月間の事業収入と、これに対応する前年同期間の事業収入との比較になりますが、これらの金額は、それぞれの事業年度における会計帳簿等によって確認が行なわれます。

③特例対象家屋の事業用・居住用割合
建物のうち、軽減措置の対象となるのは事業用家屋に限られます。工場等の建屋等を想定していますが、事業用と居住用が一体となっている場合であっても、事業専用割合に応じた部分が軽減措置の対象となります。

(2)確認書の交付

支援機関は、中小事業者等からの依頼により上記(1)の要件について確認を行ない、問題がなければ、中小事業者等に対し、これを確認した旨の証明書(確認書)を発行します。
市町村の申請の受付は2021年1月となりますが、申請期間は実質1か月に満たないため、支援機関への確認依頼はなるべく早めに行なっておくとよいでしょう。

(3)軽減申請

固定資産税等の軽減措置の適用を受けようとする中小事業者等は、支援機関から交付を受けた確認書と、その確認のために支援機関に提出したものと同じ書類を添付して、市町村の窓口に申請することになります。
複数の市町村に固定資産税等を納付している場合には、それぞれの市町村に申請する必要があるため注意が必要です。

今般の新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として打ち出された固定資産税等の軽減措置は、あくまでも2021年度(令和3年度)に限った措置となります。
すでに確定している2020年度(令和2年度)の固定資産税等に対しては、軽減措置などはありません。ただ、事業収入が前年同期比で概ね20%以上減少し、固定資産税等を一時に納付することが困難な場合には、1年間の徴収猶予の特例制度が設けられているため、こちらの活用も検討してみるとよいでしょう。
執筆者プロフィール

田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方[第2版]』(税務経理協会)、『こんなに使える試験研究費の税額控除』(税務経理協会)。
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