「被保険者期間」算定方法の変更の概要
失業等給付などの受給要件を満たすためには、離職⽇以前の2年間に「被保険者期間」が通算して原則12か月以上必要となります。今回、この「被保険者期間」の算定方法が、下記のように変更されました。赤字部分が新たに改正(追加)された部分です。離職日から1か月ごとに区切っていた期間に、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月、または、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1か月として計算する
従来、「被保険者期間」は、「離職日から1か⽉毎に区切っていた期間に、賃⾦⽀払基礎日数が11日以上ある月」を1か月として計算するものとされており、労働時間についての要件がありませんでした。そのため、賃金支払基礎日数が10日以下の場合、その月にどれだけ多くの労働時間があっても、被保険者期間には算入されませんでした。今回、「労働時間数が80時間以上ある月」も1か月として計算できるようになったことで、“雇用のセーフティネット”がより合理的で充実したものとなり、より多くの被保険者の方が受給できるようになったというわけです。
実務上のポイントと留意点
実務担当者としては、各書類の作成を適切に進め、この制度の実効性を高めることが大切です。特に、『雇用保険被保険者離職証明書』の作成時の記載もれには注意が必要です。賃金支払基礎日数が10日以下の月は、賃金支払基礎となった労働時間数を「備考欄(⑬欄)」に記載します。

なお、「被保険者期間」の算定方法の変更は離職時だけではなく、令和2年8月1日以降に育児休業や介護休業を取得する場合についても適用されますので、あわせて注意が必要です。
新型コロナウイルスの影響で、短時間勤務の方の失業や、各種休業の取得も増えていると思いますので、適切に手続きを進めましょう。