本コラムでは、2019年(令和元年)10月1日から利用が開始され、まもなく1年を経過しようとしているeLTAXによる地方税版ダイレクト納付について確認します。
eLTAX(エルタックス)の概要
eLTAXは、地方税に係る申告、申請・届出、納税などの手続きを、インターネットを通じて電子的に行なうシステムです。特に、複数の地方公共団体に申告等を行なう場合、従来はそれぞれの受付窓口に提出する必要がありましたが、これを総合窓口として一元化したのがeLTAXの地方税ポータルシステムです。
インターネットで送信された申告データ等を一括で受け付けるポータルセンタでは、それぞれの提出先を判別し、これを各地方公共団体に送信します。受付結果は、納税者に送信されるメッセージボックスへの通知で確認することができます。
「共通納税」によるダイレクト納付
共通納税は、eLTAXによる地方税ポータルシステムの一つで、e-Taxと同様に、事前に登録した預貯金口座からダイレクト納付による納税が可能です。共通納税を利用すると、複数の地方公共団体への納税がeLTAXを通じて一括して行なえます。また、納付先の地方公共団体では取り扱っていない金融機関であっても、eLTAXに対応した金融機関であれば納付できます。
利用開始の手続き
ダイレクト納付の利用に際しては、まずeLTAXのホームページ上にある「PCdesk(WEB版)」から「利用届出(新規)」を行ない、利用者IDの取得と暗証番号の設定をします。すでにeLTAXを利用して電子申告をしている法人は、新たにIDを取得する必要はありません。その後、eLTAXのホームページ上でダイレクト納付を行なうために金融機関口座を登録しますが、口座振替のための手続きは、利用する金融機関宛に郵送で行ないます。
なお、金融機関に提出する用紙は、eLTAXのホームページ上で金融機関口座を登録すれば自動的に作成されます。
納税の手続き
共通納税の利用にあたっては、eLTAXのホームページ上にあるeLTAX対応のソフトウェア「PCdesk」を、利用するパソコンにダウンロードしておきます。共通納税による納付は、次の2つの方法があります。
(1)電子申告データに連動して納付する方法
(2)税目や納税額などの情報を直接入力して納付する方法
(1)電子申告データに連動して納付する方法
電子申告した場合には、その提出した申告データをもとにダイレクト納付をすることができます。電子申告データに連動してダイレクト納付ができるのは次の税目です。延滞金や加算金などを納付することもできます。・法人都道府県民税
・法人事業税・地方法人特別税
・法人市町村民税
・事業所税
・個人住民税(eLTAXで給与支払報告書を電子データで提出し、特別徴収税額通知を電子送付で受けている場合)
(2)納税額等を入力して納付する方法
電子申告をしていない場合でも、納付先や税目、納税額等の情報を新規に入力することで、ダイレクト納付が行なえます。入力によってダイレクト納付ができるのは次の税目です。
・個人住民税(個人住民税のうち、(1)以外の特別徴収分と延滞金等)
・法人都道府県民税の見込納付・みなし納付
・法人事業税と地方法人特別税の見込納付・みなし納付
・法人市町村民税の見込納付・みなし納付
・更正・決定に関する納付
※1 見込納付とは、申告期限の延長をしている場合に、本来の法定納期限までに概算でいったん納付することをいいます。
※2 みなし納付とは、前期納税実績に基づき、予定申告書を提出することなく中間納税をすることをいいます。
地方税版ダイレクト納付は、eLTAXに対応した金融機関であれば、各地方公共団体が取り扱っていない金融機関であっても電子納税をすることができます。
コロナ禍の今、e-Taxによるダイレクト納付も併せて活用すれば、感染防止対策だけではなく、納税事務の負担はさらに軽減されることになるでしょう。