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社会保険手続きにおける押印等の見直し

2021年1月29日更新

人事労務News&Topics

社会保険手続きにおける押印等の見直し

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
新型コロナウイルス感染拡大への対応において、書面主義や押印原則、対面主義など行政手続きにおける様々な課題が明らかになり、これを契機として、各手続きについて順次見直しが行われています。本コラムでは、社会保険に関わる手続きの見直しのうち、昨年12月に公表された押印の廃止や添付書類の廃止について、具体的に解説していきます。

(1)年金手続き等における押印の原則廃止

2020年12月25日より、年金手続きの申請・届出様式の押印が原則廃止されました。

<押印が廃止される届出>
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
健康保険 被扶養者(異動)届
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届
健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届
健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届
健康保険・厚生年金保険 被保険者育児休業等終了時報酬月額変更届
健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届  等
新しい申請・届出様式は、事業主欄の押印が廃止されるとともに、「被扶養者(異動)届」や「育児休業等終了時報酬月額変更届」の被保険者の押印等も廃止されました。旧様式により提出する場合であっても、押印の必要はありません。

なお、金融機関への届け印や実印による手続きが必要となる一部の手続きについては、引き続き押印が必要になりますので注意しましょう。

<押印が必要な届出>
健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書
健康保険・厚生年金保険 保険料預金口座振替辞退(取消)通知書
国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書
公的年金等の受給者の扶養親族等申告書  等
年金手続きの他、健康保険、雇用保険、労働者災害補償保険等についても、押印が廃止されています。

(2)算定基礎届等の総括表の廃止

現在、社会保険の定時決定の届出(算定基礎届)や賞与支払いの届出の際には、「総括表」の添付が求められています。この総括表について、2021年4月1日から廃止されることになりました。
届出書類 現行の添付書類 2021年4月1日
以降の添付書類
健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/70歳以上被用者 算定基礎届 「健康保険・厚生年金保険 被保険者月額算定基礎届総括表」
健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届 「健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届総括表」
また現在、賞与を支給しなかった場合、「賞与支払届総括表」へ賞与の支給が無いことを記入し届出を行っていましたが、総括表の廃止に伴い、賞与の支給がなかった場合には「健康保険・厚生年金保険 賞与不支給報告書」を提出することになります。 実務担当者にとっては、どちらも業務の効率化につながる大きな変更といえるでしょう。これを機に、社内業務プロセスの見直しや手続きの電子化等を検討してみてはいかがでしょうか。
執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
志-こころ- 特定社労士事務所

連載「人事労務News&Topics」

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