本コラムでは、特に法人に対する国税の申告に関するペナルティを中心に確認していきます。
税務上のペナルティの種類
「附帯税」といわれる税務上のペナルティには、主に次のようなものがあります。事情に応じて、それぞれ内容や税率が異なります。・延滞税
延滞税は、国税が法定納期限等までに納付されない場合、その翌日から納付する日までの日数に応じて課されます。また、更正や決定があった場合のほか、自主的に期限後申告書や修正申告書を提出して税額が生じることになった場合なども含め、法定納期限の翌日から納付する日までを計算期間として課されるペナルティです。
なお、「偽りその他不正の行為」により国税を免れた場合を除き、1年を超えて延滞税が課されることはありませんが、次項以降(重加算税を除く)に掲げる他のペナルティは重複して課されます。
延滞税の税率は、法定納期限の翌日から2か月を経過する日までは2.5%、その翌日以降は8.8%となっています(令和3年1月1日~令和3年12月31日の場合)。なお、延滞税の計算の基礎となる本税の額に1万円未満の端数があるときは、これを切り捨てます(本税の額が1万円未満の場合には延滞税は課されません)。
・過少申告加算税
過少申告加算税は、たとえば税務調査により当初申告した課税所得が過少とされ、新たに納付すべき税額が生じたことで修正申告書を提出した場合に、その増加部分を計算の基礎として課されます。過少申告加算税の税率は、10%(その増加部分が、当初申告税額と50万円のいずれか多い額を超える場合には、その超える部分に対しては15%)とされています。
なお、自主的な修正に対する過少申告加算税の税率は、5%(その増加部分が、当初申告税額と50万円のいずれか多い額を超える場合には、その超える部分に対しては10%)です。
・不納付加算税
毎月10日が納期限となる源泉所得税の納付が遅れた場合、原則として不納付加算税が課されます。ただし、納付を失念した場合であっても、過去1年以内に源泉徴収した税額につき期限後納付がないことを条件に、納期限から1か月以内であれば、不納付加算税が課されることはありません。不納付加算税の税率は、10%とされています。ただし、期限後納付であっても、自主的に納付をした場合の不納付加算税の税率は5%となります。
・無申告加算税
申告が期限後となってしまう場合には、無申告加算税に注意が必要です。しかし、申告が法定申告期限を過ぎたからといって、即座に無申告加算税が課されるわけではありません。次のいずれにも該当する場合には、無申告加算税が課されることはありません。
・法定申告期限から1か月以内に自主的に申告をしていること
・その納付すべき税額を期限後申告までに完納していること
・過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されていないこと
無申告加算税の税率は、15%(納税額が50万円を超える部分は20%)とされています。なお、期限後申告となった場合であっても、自主的に申告書を提出した場合の無申告加算税の税率は、10%(納税額が50万円を超える部分は15%)となります。
・その納付すべき税額を期限後申告までに完納していること
・過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されていないこと
・重加算税
上記の過少申告加算税、不納付加算税または無申告加算税が課される場合のうち、これらの税額の計算の基礎の事実等の全部もしくは一部について仮装または隠ぺいをし、その仮装または隠ぺいに基づいて申告書を提出もしくは法定納期限までに納税しなかった場合には、これらのペナルティに代えて重加算税が課されます。重加算税の税率は、過少申告加算税・不納付加算税に代えて課される場合は35%、無申告加算税に代えて課される場合は40%となります。
附帯税は、納税者間での公平性を担保することを目的に設けられている制裁措置といえます。
特に重加算税が課せられる場合には、法人にとって社会的信用力の低下にもつながるため、適正な申告・納税を心がけましょう。