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法定調書に対する調査(法定監査)

2022年1月13日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

法定調書に対する調査(法定監査)

[田中康雄氏(税理士)]
給与所得の源泉徴収票等に係る法定調書の合計表は、毎年1月31日が提出期限となっていますが、所得税や法人税などの税務申告とは異なり、提出が多少遅れてもペナルティはありません。
しかし、未提出の場合や虚偽の記載に対しては、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処されることが、所得税法上において明確に規定されています。
また、2016年1月1日以後の金銭等の支払いに関する法定調書については、原則として、マイナンバーや法人番号を記載することが義務付けられています。
このように、法定調書には提出期限やその提出の範囲、記載内容に一定のルールがあることから、これらを確認するため税務署等による「法定監査」というものが実施されるケースがあります。
そこで、本コラムでは、法定調書に対する法定監査の実態を確認することにします。

法定監査とは

法定調書は、所得税法などの規定により提出が義務付けられている資料で、税務署等にとっても適正・公平な課税を実現するための重要な資料となります。
そのため、法定調書の提出範囲や支払調書に記載された金額の妥当性を確認することを目的として、必要に応じて「法定監査」を実施し、適正な提出の確保に努めています。この法定監査は、法定調書を提出すべき者に対して、税務署等の職員による質問検査権を根拠として実施されます。
ただ、法定監査は税務調査とは異なり、追徴されることはなく、また誤りの程度にかかわらず税務調査へと移行することもありません。あくまでも提出した支払調書等の内容のチェックと誤りがあった場合の訂正による再提出のお願い、あるいは今後の法定調書に対する取組みについての指導といった位置付けになります。

法定監査の一般的な流れ

上記のとおり、法定監査は税務調査とは性格が異なりますが、実務上、法定監査を実施するにあたり、事前に税務署等から通知がなされるのが通常です。
その後、法定調書の内容を確認するため、税務署等の職員が実際に法定調書の提出義務者を訪問し、チェック作業等が行なわれていきます。
税務調査とは異なり、チェック対象となる資料等の分量は少ないため、一般的に半日ほどで終了するケースが多いといえます。

最近の傾向

あまり聞き慣れない「法定監査」ですが、最近では提出すべき支払調書の枚数がある程度多くなる会社のなかでも、特にマイナンバーの記載漏れが多い会社などを中心に法定監査が実施される傾向にあるようです。

実務的にはペナルティがほとんどないとはいえ、法定調書の記載にあたっては誤りがないよう十分に注意し、期限内に提出できるよう準備しましょう。
執筆者プロフィール

田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方[第2版]』(税務経理協会)、『こんなに使える試験研究費の税額控除』(税務経理協会)。
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