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社葬費用の取扱い

2022年6月20日更新

サポートクラブ 税務News&Topics

社葬費用の取扱い

[田中康雄氏(税理士)]
新型コロナウイルス感染症の影響により、近年、葬儀は近親者のみの家族葬が増加傾向にあるようです。しかし、会社にとって重要なポジションにあった経営陣などが亡くなった場合には、故人の功績を称えるため「社葬」を行なう会社も少なくありません。
そこで、法人が葬儀の主体となり、こうした費用を負担する場合の「社葬費用」の損金性について確認します。

社葬について

社葬とは、一般的に、その会社の創業者や社長など会社の発展に貢献した故人を偲ぶため、会社が施主となり会社関係者を招いて執り行なわれる葬儀をいいます。
社葬は、故人の遺族と会社とが葬儀を合同で行なう「合同葬」のほか、近親者のみで執り行なわれる家族葬や、宗教儀礼とは切り離した「お別れの会」などがありますが、これらに係る費用の全部または一部を社葬費用として会社が負担します。

基本通達上の取扱い

社葬費用について、法人税基本通達は「法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。」としています。
つまり、会社が社葬を執り行なった場合には、その費用のうち、故人の遺族が本来負担すべき部分以外で、一般的な範囲内の費用は損金算入することができます。
したがって、火葬や納骨、戒名料の費用、法事費用、墓や仏壇、位牌の費用等を除いて、通常は、会場の式場費用や生花、祭壇、読経料、社葬の案内状に係る費用や式場内での飲食代等が社葬費用となります。遺族との合同葬となる場合には、それぞれの負担を明確にしておくことが重要です。
なお、当該通達では、法人が負担した社葬費用を「損金の額に算入することができる」としているため、一般的な範囲内の社葬費用は、税務上「交際費」として取り扱う必要はありません。

香典等の帰属について

社葬として葬儀を執り行なった場合であっても、会葬者は香典等を持参することが一般的です。
これら香典等の取扱いについては、上記の通達のなかで「会葬者が持参した香典等を法人の収入としないで遺族の収入としたときは、これを認める。」としています。
つまり、あくまでも香典等は故人へのお悔やみの気持ちであるとの立場から、たとえ社葬費用の負担は法人であっても、受け取った香典等をその費用に対する収入として認識する必要はないとする考えが示されています。
なお、社葬の参列者への返礼品等は社葬費用に含まれますが、遺族による香典返し費用は社葬費用に含めることはできません。
執筆者プロフィール

田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方[第2版]』(税務経理協会)、『こんなに使える試験研究費の税額控除』(税務経理協会)。
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