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租税公課と損金算入の可否について

2022年7月5日更新

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租税公課と損金算入の可否について

[田中康雄氏(税理士)]
契約書に貼付する印紙や接待交際のためのゴルフプレーに係るゴルフ場利用税、社用車の自動車税、本社ビルや工場の固定資産税、備品等の償却資産税等々、法人が営業活動を継続するなかでは、国税、地方税を問わず、さまざまな税金を負担しています。
通常、これらは経費として損金算入することができますが、損金算入するタイミングに注意を要するケースがあります。
本コラムでは、損金算入できない主な租税等にはどのようなものがあるか、そして損金算入することができる租税公課については、その損金算入時期を確認します。

損金算入できないもの

損金算入できないものは、次のとおりです。
1.法人が決算時において申告・納付する法人税や地方法人税、都道府県民税や市町村民税の本税

地方税のうち、法人事業税や特別法人事業税、事業所税は損金算入されます。

2.修正申告等によって課せられる加算税や加算金、延滞税や延滞金のほか、印紙税のペナルティとして課される過怠税

納期限の延長に係る利子税や延滞金は損金算入されます。社会保険料の延滞金についても損金算入が認められています。
還付申告によって還付される税額に係る還付加算金は、納付時には損金不算入として取り扱われる法人税等に対するものであっても益金算入されます。

3.刑事罰として科される罰金や科料のほか、行政上の義務違反に対して科される過料

過料は、役員変更登記などを失念していた場合に科されるケースが多いといえます。
従業員等に課された交通反則金等を法人が負担した場合、業務遂行上のものであれば従業員等の給与等となることはありませんが、損金算入することはできません。

4.法人税の申告において税額控除を選択した場合の所得税や外国法人税

租税公課の損金算入時期

(1)申告納税方式による税金等

法人が決算時において申告する法人税等のうち、法人事業税や特別法人事業税、事業所税などの申告納税方式による租税は、その納税申告書を提出した事業年度において損金算入することになります。

(2)賦課課税方式による税金

固定資産税や自動車税、不動産取得税など、自治体等が納付税額を計算して納税者に通知する賦課課税方式による租税については、賦課決定があった事業年度において損金算入することになります。
ただし、実際に納付した事業年度において損金経理をした場合には、その損金経理をした事業年度で損金算入します。
なお、償却資産税は毎年1月31日を期限として申告書を提出しますが、これらはその申告を基礎として各自治体において税額を決定することになるため、賦課課税方式に該当します。

(3)納期限の延長に係る利子税や延滞金

損金算入が認められる納期限の延長に係る利子税や延滞金については、その納付をした事業年度が損金算入の時期となります。
ただし、未納となってしまった利子税等を損金経理により未払計上した場合には、その損金経理をした事業年度となります。
執筆者プロフィール

田中康雄氏(税理士)
税理士法人メディア・エス、社員税理士。慶應義塾大学商学部卒業。法人税、消費税を専門とし、上場企業から中小企業まで税務業務を担当。資産税関連も含め税務専門誌に多数執筆。主要著書『ケース別「事業承継」関連書式集』(共著、日本実業出版社)、『設備投資優遇税制の上手な使い方[第2版]』(税務経理協会)、『こんなに使える試験研究費の税額控除』(税務経理協会)。
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