本コラムでは、税制改正法案が成立するまでの流れを確認します。
(1)概要
税制改正にあたっては、租税法律主義のもと、立法手続きを必要とします。つまり、改正法案は立法機関である国会へと提出され、これが可決されれば法案が成立し、その後施行される流れとなります。
(2)税制改正要望の提出
内閣府の審議会の中には、租税制度に関する基本的事項を調査審議する政府税制調査会が設置されており、そこでは中長期的な視点で税制のあり方を検討します。一方、与党内の審議機関となる税制調査会では、具体的な事項として各府省庁から提出される税制改正要望等が審議されます。各府省庁からの税制改正要望等は、通常、その年の8月末を目途に提出されます。
(3)税制改正大綱の作成
与党税制調査会に提出された要望等は、その後与党税制改正大綱として取りまとめられ、内閣の意思を決定するために開かれる閣議に提出されます。与党内で取りまとめられた税制改正の大綱の内容は、例年12月中旬頃に公表され、年内に閣議決定されます。
税制改正の大綱が閣議決定されると、これに沿って国税関連のものは財務省が、地方税関連のものは総務省が、それぞれ国会に提出するための改正法案を作成していきます。
(4)改正法案の成立
改正法案は、まず、衆議院あるいは参議院のいずれかに提出されます。先にどちらに提出するか、順序は決まっていませんが、衆議院先議のケースが多いといえます。たとえば、先に衆議院に税制改正法案が提出されるケースでは、議院内の常任委員会である財務金融委員会または総務委員会において審議がなされ、その後本会議に付されます。
そして、衆議院でこれが可決されると、次に参議院に送付されます。
参議院においても、財政金融委員会または総務委員会で審議が行なわれ、同様のプロセスを経て可決されると、改正法案は成立します。
(5)税制改正関連法の施行
法案が可決されて成立すると、次に公布への流れとなります。税制改正関連法の公布は、通常、3月下旬頃です。
その後、改正法に定められた日から税制改正関連法が施行されますが、他の法律の改正等を前提としないものは、4月1日からの施行が多いといえるでしょう。
近年、特に法人税では目立った改正はありませんが、細かな点の改廃がなされているケースもあります。
毎年の税制改正の内容は欠かさずチェックし、特に優遇税制については、適用期間と適用要件をしっかりと確認して、最大限に活用したいものです。