法人税の申告の場合、提出済みの申告書に記載された所得金額が増加するときには「修正申告書」を提出し、逆に減少するときには「更正の請求書」を提出することになります。
本コラムでは、こうした申告内容が変更される場合の手続きを確認します。
修正申告
すでに申告をした課税所得が誤り等によって増加する場合には、自らこれを改めて計算し直して修正申告書を提出し、必要に応じて追加で納税等をします。また、繰越欠損金が減少するケースのように、追加の納税が発生しない場合であっても、課税所得を増加させる手続きになるため、修正申告書を提出します。
更正の請求
更正は、申告内容を税務署長の側で改めて正す行為となります。税務署長が、納税者からの申出を受けてその申告税額を減額させる場合だけではなく、増額させる場合も更正に含まれます。税額を増額させる例としては、誤った申告に対し税務署等から修正申告等の勧奨があったにもかかわらず、納税者が自発的に訂正しないときに、税務署長自らが正しい税額に変更する処分が挙げられます。
一般的に、更正の請求といえば、提出した申告書に記載した申告額を減少させるために、納税者が税務署長に対して課税所得の減額をお願いすることをいいますが、厳密には「減額更正の請求」という表現が正しいといえるでしょう。なお、納税者からの減額更正は、「更正の請求書」によって行ないます。
更正を行なう主体は税務署長になるため、税務署長が増額更正の処分を行なった場合や、納税者が減額更正を請求したにもかかわらず税務署長が却下した場合などは、納税者はその処分の取り消しや変更を求めて不服申立てを行なうことができます。
なお、税務署長が更正できる期間は、原則として法定申告期限から5年以内となっているため、納税者が減額更正の請求ができるのも同様の期間となります。
決定
税務署長が主体となって行なう行為のうち、更正と似たような処分として「決定」という手続きがあります。これは、申告書を提出しなければならない納税者が、税務署等からの期限後申告等の勧奨にも応じず申告義務を怠った場合に、調査を前提として税務署長自らが課税標準や税額を確定させる処分をいいます。
不服の申立て
更正や決定の手続きは、それぞれ納税者に通知書を送達して行なうこととされています。更正や決定は、税務署長が自ら行なう行為であるため、その処分に対して納税者側で不服があるときは、その処分の通知を受けた日から3か月以内に、再調査の請求や審査請求などの方法によって不服申立てを行なうことができます。納税者の側からすれば、「更正の請求書を提出すると、税務調査の対象になるのではないか?」という不安があるかもしれません。
しかし、課税する側からすれば、いったん収納された税金を改めて出納することになるため、納税者に対して一定の手続きを求めることは仕方がないことでしょう。
ただ、申告の誤りで納税額が多くなってしまっていることに気づいたとき、自己の利益を守るために減額更正を請求することは、納税者としては当然の手続きといえるでしょう。