<2022年10月施行 人事・労務に関する主な法改正>
(1)出生時育児休業(産後パパ育休)の創設、育児休業の分割取得 【育児・介護休業法】
①出生時育児休業(産後パパ育休)の創設
出生時育児休業、通称「産後パパ育休」が創設されました。この休業は、子の出生後8週間の期間内に、合計4週間(28日間)まで取得できるというものです。4週間以内の期間を連続、または2分割して取得することが可能です。また、出生時育児休業時の給付金である「出生時育児休業給付金」が創設されます。
②育児休業の分割取得
子が1歳に達するまでの育児休業について、改正により「2回に分割して取得することが可能」になりました。分割の対象は、「子が1歳に達するまでの育児休業」です。1歳以後の育児休業(延長)、1歳6か月以後の育児休業(再延長)は、分割できません。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000869228.pdf
(2)育児休業等期間中の社会保険料免除要件の改定 【健康保険法】
従来、育児休業等期間中の社会保険料免除の取扱いは、「月末時点で育児休業等を取得している」場合、その月の給与・賞与に係る社会保険料が免除されました。改正により、従来の要件に加えて、「同一月内に育児休業等の開始日と終了予定日の翌日があり、その月内に14日以上の育児休業等を取得していること」「賞与に係る保険料は、1か月を超える育児休業等を取得していること」が追加されました。
(3)社会保険の適用拡大 【健康保険法・厚生年金保険法】
厚生年金保険の被保険者数が101人以上の事業所(「特定適用事業所」といいます)で働く短時間労働者は、健康保険・厚生年金保険の適用対象となりました。短時間労働者とは、次の4つの条件すべてに該当する人が該当します。
①週の所定労働時間が20時間以上
②月額賃金が8.8万円以上
③2か月を超える雇用見込みがある
④学生ではない
(4)令和4年度の地域別最低賃金 【最低賃金法】
令和4年度の地域別最低賃金が、30~33円の引上げとなります。 改定後の最低賃金が適用される期日は、各都道府県で異なりますので注意しましょう。たとえば、発効年月日が令和4年10月6日の場合、10月6日以後の賃金に対して改定された最低賃金が適用されます。地域別最低賃金は、事業場が属する都道府県の最低賃金が適用されます。たとえば、本社が東京にあり、労働している事業場が長野県の場合、適用される地域別最低賃金は、「長野県」となります。
また、派遣労働者は、派遣元の所在地にかかわらず、派遣先の事業所所在地の地域別最低賃金が適用されます。
https://pc.saiteichingin.info/
(5)令和4年度後半の雇用保険料率の引上げ 【雇用保険法】
令和4年10月分の雇用保険料から、労働者負担・事業主負担ともに保険料率が引き上げられます。年度の途中に雇用保険料率が変更になるのは異例ですが、改定される雇用保険料率は、「2022年10月1日以後、最初の賃金締切日」から適用となります。たとえば、賃金締切日が毎月末日締め、賃金支払日が翌25日の場合は、次のようになります。
・9月末締め、10月25日給与 → 令和4年9月までの雇用保険料率
・10月末締め、11月25日給与 → 令和4年10月以降の雇用保険料率
(6)企業型確定拠出年金加入者のiDeCo加入要件の緩和 【確定拠出年金法】
企業型確定拠出年金を導入している企業の従業員がiDeCoに加入しやすくなりました。ただし、掛金の拠出限度額に変更はありません。
(7)歯科健康診断の結果報告における人数要件の撤廃 【労働安全衛生法】
有害な業務に従事する労働者に対し、歯科健康診断を実施することが義務とされています。改正により、歯科健康診断の結果報告が、事業所の労働者数にかかわらず義務化されました。