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定額減税(年調減税事務)の仕組みについて

2024年11月11日更新

人事労務News&Topics

定額減税(年調減税事務)の仕組みについて

[矢島志織(特定社会保険労務士)]
令和6年に限り、所得税と住民税の定額減税が実施されています。
令和6年6月1日以後に支払う給与、賞与等に対する源泉徴収税額からその時点の定額減税額を控除する事務を「月次減税事務」、年末調整時点の定額減税額に基づき清算を行なう事務を「年調減税事務」といいます。
本コラムでは、年調減税事務について解説していきます。

(1) 定額減税とは

以前のコラムでは、定額減税の対象者、減税額、配偶者、扶養親族の要件などについて解説しました。

≫ 人事労務News&Topics :『定額減税(月次減税事務)の仕組みについて

令和6年6月1日以後に支払う給与、賞与等に対する源泉徴収税額からその時点の定額減税額の計算をされたと思います。
この月次減税事務では、仮で所得税の金額を計算し、控除していたため、最終的な調整を年末調整で行なうことが必要になります。

(2) 定額減税(年調減税事務)の流れ

年調減税事務の流れとしては、通年の例により年末調整を行ない、最後に年調減税額を控除する、こととなります。
たとえば、給与等の総額5,000,000円を例にして、年調減税事務の流れを確認してみましょう。

■所得金額の計算例
今年の給与等の総額が5,000,000円の場合、給与所得控除額1,440,000円を控除し、給与所得控除後の給与等の金額は、3,560,000円となります。
仮に、社会保険料控除額、生命保険、地震保険、配偶者控除などの所得控除額等の金額が1,260,000円の場合、差引課税給与所得金額は、2,300,000円になります。
■税額の計算例
差引課税給与所得金額に所得税率を乗じて、算出所得税額132,500円と算出します。
住宅借入等特別控除がある場合、算出所得税額から住宅借入等特別控除額(ここでは100,000円とします)を控除して、年調所得税額32,500円を算出します。
ここまでは、例年の年末調整の流れと同じです。
今年に限っては、この後、年調減税額を差し引きして、定額減税額控除後の所得税額を算出し、年調年税額を算出します。
年調減税額は、「本人分30,000円+同一生計配偶者と扶養親族1人につき30,000円」です(ここでは本人分のみの30,000円とします)。

(3) 源泉徴収票への記載について

今年は、年末調整終了後に作成する源泉徴収票に定額減税額等を記載することが求められます。
給与所得の源泉徴収票の「摘要」欄に以下のように記載します。

・実際に控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額○○○円」

・年調減税額のうち、年調所得税額から控除しきれなかった金額を「控除外額○○○円」

・控除しきれなかった金額がない場合は「控除外額0円」

●記載例
(摘要)
源泉徴収時所得税減税控除済額30,000円、控除外額0円
※年調減税額30,000円を控除し、控除しきれなかった金額がないことを意味します


令和6年は、定額減税により年末調整の手順、確認事項が増えて実務担当者は大変かと思います。
年末調整のスケジュールから逆算すると、実務を習得するのは、11月が勝負時期ですね。
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執筆者プロフィール

矢島志織氏(特定社会保険労務士)
社会保険労務士法人 志‐こころ‐特定社労士事務所 代表社員/KOKORO株式会社代表取締役。SEとして人事系システム開発に従事後、中小企業や上場企業の人事部を経験し、勤務社労士を経て独立。豊富な現場経験を強みに、企業全体の労務リスクを分析し、人事労務DD、IPO支援、人事制度、就業規則の見直し等を行う。また現場の声を聞きながら、人事労務セミナーや企業研修講師を行う等、多数の講演実績あり。著書として『労働条件通知書兼労働契約書の書式例と実務』(日本法令)、『IPOの労務監査 標準手順書』(日本法令)など。
志-こころ- 特定社労士事務所

連載「人事労務News&Topics」

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