本コラムでは、育児時短就業給付金について解説します。
(1)育児時短就業給付金とは
雇用保険の被保険者が、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、賃金が低下するなど一定の要件を満たすと「育児時短就業給付金」の支給を受けることができます。(2)支給対象者
育児時短就業給付金は、次の①、②の要件を両方満たす場合に受給資格者となります。
①2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する雇用保険の被保険者であること |
②育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始したこと、または、育児時短就業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある)完全月が12か月あること |
□「1週間当たりの所定労働時間を短縮する」とは?
1日の所定労働時間を短縮することや、1週間の所定労働日数を減らすことが該当します。なお、短縮後の1週間の所定労働時間に下限はありませんが、雇用保険の被保険者資格の要件は、「1週間の所定労働時間が20時間以上」です。
この基準を下回ると雇用保険の被保険者資格を喪失するので注意しましょう。
□「育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き育児時短就業を開始したこと」とは?
育児休業期間の末日の翌日(復職日)が育児時短就業を開始した日である場合のほか、育児休業期間の末日の翌日(復職日、例①では4/1)から起算して、育児時短就業を開始した日の前日(例①では4/14)までの期間が14日以内であることが必要です。復職してから時短勤務までの14日以内とは、フル勤務に戻った日数が14日以内であることがポイントになります。
例①

したがって、育児休業期間の末日の翌日(復職日、例②では4/1)から起算して、育児時短就業を開始した日の前日(例②では4/15)までの期間が15日の場合は、受給資格対象外です。
例②

(3)各月の支給要件
前述の受給資格者であり、次の①~④のすべてを満たす月について支給されます。
①初日から末日まで続けて被保険者である月 |
②1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月 |
③初日から末日まで続けて育児休業給付または介護休業給付を受給していない月 |
④高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月 |
□「支給を受けることができる期間」とは?
原則として、育児時短就業を開始した日の属する月から育児時短就業を終了した日の属する月までの各暦月について支給されます。例③では、育児時短就業を開始した日(4/15)の属する月(4月)から育児時短就業を終了した日(3/14)の属する月(3月)までの各暦月(4月~翌年3月)が支給対象月となります。
例③

(4)育児時短就業給付金の支給額
※支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業開始時賃金月額の90%超~100%未満の場合、支給率は10%から下がります。
育児時短就業給付金は、時短就業に伴い、賃金額が下がることが前提となります。したがって、時短就業ではあるものの、賃金額が下がらない場合などは、給付金は支給されません。