本コラムでは、介護離職防止のための個別の周知・意向確認などについて解説します。
(1)介護離職防止のための個別の周知・意向確認
2025年4月以降、介護に直面した旨の申し出をした労働者に対して、事業主は、介護休業制度等に関する以下の事項の周知と介護休業の取得意向の確認を個別に行なうことが必要になりました。なお、労働者とは、性別や雇用区分、勤続年数、年齢などを問わず、全労働者が対象です。
■対象者 2025年4月以降、対象家族の介護に直面した旨の申し出をした労働者 |
■周知事項 以下の①~③の事項を周知する必要があります。 ①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等 ②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(人事部など) ③介護休業給付金に関すること ※介護両立支援制度とは、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜労働の制限、所定労働時間の短縮など |
■方法
①面談(オンライン可) ②書面 ③FAX ④電子メール等 ※③、④は労働者が希望した場合 |
(2)実務のポイント
本制度について、下に実務の流れを図解しました。労働者からの「申し出」をきっかけとして、申し出の意思表示が会社側などに届いた場合に、会社側などから労働者に対して、個別の周知・意向確認を行なう流れとなります。

(3)早期の情報提供
続いて、2025年4月以降、介護に直面する前の早い段階(40歳等)で介護休業や介護両立支援制度等に関する情報提供を行なうことが必要になりました。■実施のタイミング
①労働者が40歳に達する日(誕生日の前日)の属する年度 または②労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間 |
■情報提供事項 以下の①~③の情報を提供する必要があります。 ①介護休業に関する制度、介護両立支援制度等 ②介護休業・介護両立支援制度等の申出先(人事部など) ③介護休業給付金に関すること ※介護両立支援制度とは、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜労働の制限、所定労働時間の短縮など |
■方法
①面談(オンライン可) ②書面 ③FAX ④電子メール等 ※③、④は労働者が希望した場合 |
(4)実務のポイント
本制度について、下に実務の流れを図解しました。早期の情報提供は、労働者からの申し出の有無とは関係なく、会社側などから労働者に対して情報提供を行なう流れとなります。

したがって、まず、実施時期をどちらで行なうかを検討していきましょう。
なお、①の年度とは、4月から翌年3月としますが、就業規則などにおいて、1年間の起算を明記することで、会社が運用しやすい年度(決算の年度、三六協定の年度など)を設けることが可能です。
「個別の周知・意向確認」という用語は、2022年4月施行の改正育児・介護休業法にもありました。
この改正は、「本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者」に対する個別の周知・意向確認です。
≫ 人事労務News&Topics :『<改正育児・介護休業法>雇用環境整備・個別の周知と意向確認の措置に関する実務対応(2)』
本改正事項は、「介護に直面した旨の申し出をした労働者」に対する内容ですので、間違えないようご注意ください。
厚生労働省からWord形式の参考様式も出ております
13-4(介護休業等)個別周知・意向確認書、40歳情報提供記載例
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001397896.doc