最終更新日:2024年8月29日
中間決算は、一事業年度の中間時点での財務状況を明らかにして、経営の問題点や改善点を洗い出すために行なわれます。
中小企業であっても、融資を受けている銀行や取引先の会社から中間決算書の提出を求められることも多いと思います。
ここでは、仮決算による中間申告を行なう中小企業を前提に、中間決算をスムーズに進めるためのポイントをみていきます。
(1)中間申告の方法
事業年度が6か月を超える会社は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に、税務署に中間申告書を提出し、納税もしなければなりません(前期の法人税額が20万円以下の場合などは中間申告は不要)。
たとえば、3月決算で1年を事業年度とする会社の場合には、11月末日までに中間申告と納税が必要ということになります。
中間申告には、次の2つの方法があります。
- 前期実績に基づく予定申告
法人税額は、「前事業年度の確定法人税額÷前事業年度の月数×6」により計算します。計算された法人税額が10万円以下の場合、その年度の中間申告は不要です。
- 仮決算による中間申告
半期(事業年度開始の日から6か月間)を1事業年度とみなして仮決算を行ない、その決算に基づいて法人税額を計算します。
ただし、仮決算をした場合の納税額が予定申告による予定納税額を超える場合には、中間申告書を提出することはできません。
なお、中間申告を行なうべき法人が、期限までに中間申告をしなかった場合には、申告期限において中間申告書の提出があったものとみなされます(「みなし申告」)。
(2)中間決算をスムーズに進めるために
予定申告の場合は期限内に申告を済ませるだけでよく、事前の準備等も特に必要はありません。一方、仮決算による場合は、通常の決算に準じた手続きや作業が必要ですから、事前の準備等が重要になってきます。
以下、中間決算をスムーズに進めるためのポイントをフローチャートにまとめましたので、参考にしてください。
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中間決算の目的等の確認
関係部門が「面倒な仕事が増える」などとネガティブに捉え、協力してくれないかもしれません。そこで、経理部門の責任者、できれば経営トップが自ら、中間決算を行なう目的とメリット等を説明し、関係部門、社員間で共有しておきます。
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中間決算の期日の決定
3月決算企業が仮決算による中間申告を行なう場合は、11月末日が期限となります。中間申告だけが目的であれば11月末日でもよいのですが、経営の問題点や改善点を洗い出すという観点からは、より早い期日を設定するほうが望ましいでしょう。中間決算の結果を速やかに経営改善に活かせるようにしたいものです。
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決算に必要な手続きのリストアップ
現金、在庫、預金、売掛金、買掛金、流動資産、流動負債、固定資産、借入金等についての確認、計上等、必要な手続きのリストアップを行ないます。中間決算は、年度決算と比べると一部省略できる手続きもありますが、基本的には年度決算とほぼ同じ決算手続きが必要になります。もれなく確実に処理しましょう。
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スケジュール管理、部門間の連携
中間決算業務をスムーズに進めるには、適切なスケジュール管理と他部門との連携が不可欠です。いつまでに、どのような処理が必要なのかを関係部門に周知するとともに、状況をこまめに確認し、それを踏まえて経理部門は適宜、必要なサポートを行なうようにしましょう。