最終更新日:2024年8月29日
厚生労働省が取りまとめた令和5年度「過労死等の労災補償状況」によると、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患に関する事案の労災請求件数は1,023件(前年度比220件増)、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害に関する事案の労災請求件数は3,575件(前年度比892件増)でした。
全国労働衛生週間(10月1日~7日)は、働く人の健康の確保・増進を図り、快適に働ける職場づくりに取り組む週間です。第75回を迎えることしのスローガンは、「推してます みんな笑顔の 健康職場」です。
9月は、全国労働衛生週間の準備月間となっていますので、職場の安全衛生管理・活動の進め方について、改めて確認してみましょう。
(1)安全委員会、衛生委員会の役割
職場の安全衛生管理・活動に取り組むにあたって、重要な役割を担うのが安全委員会と衛生委員会です。労働安全衛生法に基づき、常時使用する労働者数が50人以上である等、一定の基準に該当する事業場では、安全委員会、衛生委員会(またはこれらの委員会を統合した安全衛生委員会)を設置しなければなりません。
安全委員会、衛生委員会では、労働者の危険や健康障害を防止するための基本対策などの重要事項について、調査審議等を行ないます。
なお、労働者数が50人未満など、委員会を設ける義務がない事業者も、安全または衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴く機会を設ける必要があります。
(2)日頃の活動のチェックポイント
法律に基づいて安全委員会、衛生委員会が設置されていても、きちんと開催されていない、運営・管理が形骸化している、関係する労働者への指導や情報のフィードバックが不十分、といったケースは少なくありません。
以下は、安全委員会、衛生委員会の日頃の運営・管理に関するチェックリストです。これを参考に、自社の活動をチェックしてみてください。
【安全委員会、衛生委員会の運営・管理チェックリスト】
- 安全委員会、衛生委員会の規程が作成されているか
- 労働安全衛生法等に示されている内容が委員会規程に定められているか
- 総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医が委員となっているか
- 議長以外の委員の半数が労働者側となっているか(協定等により労働者側の委員が半数超でもかまわない)
- 委員会を毎月1回以上開催しているか
- 委員会を開催した都度、議事の概要を掲示する等により、労働者に周知しているか
- 議事録を作成して3年間保存しているか
- 委員会規程で定める調査審議事項(特に健康診断、リスクアセスメント、長時間労働、メンタルヘルス対策等)について、調査審議しているか
- 労働時間外に委員会を開催している場合、労働者に割増賃金を支払っているか
- 産業医が欠席した場合に議事録等を提供し、助言・指導を受けているか
- 委員以外の労働者の意見や要望が委員会の調査審議に反映されているか
- 委員が主要部署から選出されているか
安全委員会、衛生委員会は、事業場の安全衛生管理を推進する重要な役割を担っています。
会社と労働者が協力して活発に活動を展開し、安全・安心な職場環境を醸成していきたいものです。