最終更新日:2024年8月29日
9月から10月にかけては、社員の人事異動が多い時期です。人事異動にはさまざまなものがありますが、ここでは社員の転勤があった場合に必要となる雇用保険と社会保険(厚生年金保険・健康保険)の手続きを確認します。
なお、以下の特定の法人については一部手続きの電子申請が義務化されていますので、注意してください。
・資本金、出資金または銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円を超える法人
・相互会社
・投資法人
・特定目的会社
雇用保険、社会保険において手続きが必要になる「転勤」とは、被保険者の勤務する場所が、同一の事業主のある事業所から別の事業所に変更される場合をいいます。したがって、単なる出張や一時的な駐在などは転勤には該当しません。
(1)雇用保険の手続き
「雇用保険被保険者転勤届」の提出
期限:転勤の翌日から10日以内
提出先:ハローワーク
転勤があった日の翌日から10日以内に、転勤先の事業所を管轄するハローワークに対し、「雇用保険被保険者転勤届」を提出します。
このとき、転勤元の事業所に交付されていた「雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届」と、転勤の事実を証明する書類(賃金台帳等)などを持参します。
なお、雇用保険の適用はそれぞれの事業所ごとに行なわれますが、「雇用保険事業所非該当承認申請書」をハローワークに提出し、転勤先と転出元が一つの事業所と認められた場合には、雇用保険被保険者転勤届の提出は不要です。
(2)社会保険(厚生年金保険・健康保険)の手続き
被保険者資格の「喪失届」「取得届」の提出
期限:転勤の日から5日以内
提出先:年金事務所等
雇用保険については、転勤しても被保険者資格自体は継続しますが、社会保険の場合は、いったん転勤元の事業所での被保険者資格を喪失して、転勤先の事業所での被保険者資格を再取得することになります。
そのため、転勤があった日から5日以内に、転勤元の事業所を管轄する年金事務所等に対して、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を、転勤先の事業所を管轄する年金事務所等に対して、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出します。
健康保険については、手続きの際、健康保険被保険者証(全員分)を添付し、転勤者に扶養家族がいる場合には、「健康保険被扶養者(異動)届」もあわせて提出します。添付書類等については、社員本人や家族の状況等に応じて異なりますので、年金事務所等に適宜、確認するようにしてください。
なお、社会保険の適用はそれぞれの事業所ごとに行なわれますが、一定の基準を満たす場合には、本社について支社等を含めた一つの適用事業所とすることができます。
この一括適用の承認を受けている場合には、転勤に伴う社会保険の資格喪失と再取得の手続きは不要です。
ちなみに、現行の健康保険証は、2024年12月2日に廃止され、新規発行が終了します。廃止時点で発行済みの健康保険証は、経過措置により廃止日から最長1年間は引き続き使用することが可能です。
また、マイナンバーカードの健康保険証等の利用登録が完了している場合は、転職等に伴う再度の登録は必要ありません。ただし、保険者(健康保険組合等)への届け出は引き続き必要です。