最終更新日:2024年8月29日
どんなに注意をしていてもゼロにはできないのが交通事故です。2024年1~6月も残念ながら1,182人(前年同期比1人増)の交通事故による死者が出ています。
社員が社用車を運転中に交通事故を起こした場合、会社としても責任(民法上の「使用者責任」と、自動車損害賠償保障法上の「運行供用者責任」)を問われます。
ここでは、社員が社用車を運転中に加害者となるケースを前提として、交通事故発生直後の現場対応について解説します。
なお、事故発生時に迅速かつ適切に対応できるよう、あらかじめ事故対応マニュアルを整備して、各社員に周知徹底しておくとよいでしょう。
(1)交通事故発生直後の対応の流れ
事故発生時には、事故の大きさ(重大性)にかかわらず、基本的に次のような措置・対応をとる必要があります。
- 負傷者の救護
何をおいても、人命を最優先しなければなりません。すぐに運転を止め、状況を確認して、負傷者がいる場合は救急車の手配、救命措置(止血等)を行ないます。
- 危険防止措置(2次的な事故の防止)
2次的な事故につながる可能性のある自動車の破損部品、散乱した積荷を片付けるなどの危険防止措置を講じます。
ただし、後で警察の現場検証が行なわれるので、原因究明等に支障が生じないように注意する必要があります。
- 警察への通報
どんなに軽微な事故であっても、必ず事故の発生を警察に通報しなければなりません。当事者同士で内密に処理することは厳禁です。
警察への通報の際に伝えるべき事項は、原則として次のとおりです。
・交通事故が発生した日時・場所
・死傷者数と負傷者の負傷の程度
・損壊した物と損壊の程度
・交通事故に関わった車両等の積荷
・交通事故について講じた措置
通報を受けて警察官が到着すると、現場の状況を確認し、加害者と被害者の双方から事情を聴いて、その場で実況見分調書を作成します。
調書の内容に納得できない点がある(主張がきちんと反映されていない)場合には、安易に合意(署名)しないようにする必要があります。
- 会社への連絡(報告)
負傷者の救護、危険防止措置、警察への通報を終えたら、すぐに会社(上司、総務担当者等)に連絡し、事故の概要(状況)を伝え、指示を仰ぐようにします。
- 事故の相手方の確認
相手の住所、氏名、会社名、車体の登録番号、保険の加入状況などを確認します。
これらの確認は、口頭や名刺等によるだけでは不十分です。必ず運転免許証や自動車検査証により確認するようにします。
- 目撃者の確保
実況見分調書を作成する際、目撃証言が役に立ちます。目撃者がいる場合には、警察の事情聴取への協力を依頼します。
可能であれば、目撃者の住所、氏名等を確認しておきましょう。
(2)ドライブレコーダーの活用
ドライブレコーダーの普及により、交通事故の際の現場検証や事情聴取のあり方に変化が生じています。
ドライブレコーダーには、ありのままの事故状況が記録されるため、場合によっては自らに不利な映像が残る可能性もありますが、事故時の直接の証拠としての利用に加えて、事故を起こした本人以外の運転者も視聴することで、今後の事故防止につなげることも期待できます。
ドライブレコーダーについては、下記の警察庁のウェブサイトも参考にしてください。