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入社誓約書の効果と内容に関する留意点

2024年10月の総務豆知識

入社誓約書の効果と内容に関する留意点
最終更新日:2024年9月27日
就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議の就職・採用活動日程によると、2025年4月入社予定の大学新卒者等の採用スケジュールは、基本的に2024年4月入社者と同様で、正式な内定日は、「卒業・修了年度の10月1日以降」です。
以下では、多くの企業が入社時に提出を求めている入社誓約書について解説します。

(1)入社誓約書の目的と効果

入社誓約書は、採用内定者の入社の意思を確認するとともに、内定者が特に遵守しなければならない事項を書面にして、その責任と義務を明らかにするための書面です。会社が内定者に遵守してほしい事項を明確にしておくことで、これらを守る責任と義務があることをしっかりと認識させる効果が期待できます。

一方で、法的には、入社誓約書に入社を強制するような拘束力はありませんし、提出自体を強制することもできません。
とはいえ、入社誓約書を提出させることは、実務上、非常に重要です。入社誓約書の提出を拒否されることがないように、あらかじめ就業規則に入社誓約書の提出についても盛り込んでおくとよいでしょう。

(2)入社誓約書の内容と留意点

入社誓約書の形式、定める内容等は会社によってさまざまです。一般的な内容に加えて、自社の業務内容等に応じて、独自の項目を定めることも可能です。
具体的な内容としては、誓約に違反した場合には就業規則に基づいて懲戒処分を受けること、必要に応じて損害賠償の責任を負うこと、業務上知り得た秘密を漏洩しないことなども定めておきます。

なお、労働基準法16条は、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」としています。
つまり、前もって一定額の違約金または損害賠償額を一方的に定めること(損害賠償額等の予定)は、禁止されています。

ただし、同法で禁止されているのは「損害賠償額等の予定」であり、実際に労働者の責任により発生した損害の賠償請求までは禁じていません。したがって、入社誓約書に損害賠償について定めること自体は問題ありません。

実際に賠償を請求するような事情が生じた場合には、当人への指導・教育の状況、業務の内容、過失や責任の程度など総合的に勘案して、損害の一部を負担させるのが妥当と思われます。

下掲は、入社誓約書のモデル書式です。

令和年月

○○○○株式会社
代表取締役 ○○○○殿

入社誓約書

私は、貴社の従業員として入社するに際し、下記の事項を遵守・履行することを誓約いたします。

  1. 貴社の就業規則・服務に関する諸規程を遵守し、会社の指揮命令に従って誠実に勤務し、業務を遂行いたします。
  2. 貴社の従業員として、会社の信用を傷つけるような行為はいたしません。
  3. 採用に関して提出した書類の記載事項に相違・虚偽があった場合には、採用を取り消されても異存はありません。
  4. 業務上の機密・個人情報については、在職中はもとより退職後といえども一切、漏えいまたは使用いたしません。
  5. 故意または重大な過失により貴社に損害を生じさせたときは、その損害について賠償の責任を負います。
  6. 貴社の就業規則に定める懲戒事由に該当する行為等を行なった場合には、就業規則を根拠とする相応の処分を受けることに異存はありません。
以上、ここに誓約いたします。

従業員氏名  ○○○○

参考

2024年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方(内閣官房)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_katsudou/pdf/r041130s_siryou.pdf

2025年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方(内閣官房)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_katsudou/pdf/r051208_siryou.pdf