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年末商戦の販促費用――税務調査に備えて適正な経理処理を!

2024年10月の経理豆知識

年末商戦の販促費用――税務調査に備えて適正な経理処理を!
最終更新日:2024年9月27日
もうすぐ年末商戦の季節がやってきます。消費者の年末年始の過ごし方や消費行動は多様化していますが、年末商戦に期待をかけている企業は少なくないと思われます。
年末商戦では、営業の現場、店舗をはじめとして、会社全体が商戦(売上の確保)を優先するあまり、本来必要な事務処理などが疎かになってしまいがちです。
そこで、年末商戦に伴う販促費用の処理について、ケース別に確認してみることにしましょう。

(1)展示会等の開催に要した費用

展示会等の開催費用は、「広告宣伝費」として処理します。ただし、展示会等に関連して取得した器具・備品のうち、一定のものは固定資産に計上します。
また、得意先を展示会等に招待するための交通費、宿泊費など、通常必要になる費用についても、広告宣伝費として処理します。
ただし、宿泊施設で行なわれる宴会や手土産の費用等は、交際費として処理する必要があります。

(2)リベートの支払い

メーカーや卸売業を営む会社が、販売促進のために、得意先等に対して、リベート(販売奨励金、販売助成費、協賛金など)を支払うことがあります。
こうしたリベートは、得意先等に対して、売上や売掛金の回収度合いに応じて支払うもので、金銭だけでなく、商品や事業用資産とされることもあります。
リベートについては、契約書等によりあらかじめその金額(算定方法)が明らかにされている場合には、原則として「売上割戻し」として処理し、損益計算書上は売上高から控除することになります。
契約書等による合理的な根拠のないリベートの支払いは、寄付金や交際費として課税されることがあるので注意が必要です。

(3)役員・社員に対する値引き販売

福利厚生の一環として、また販売促進の目的で、自社の役員や社員に対し、自社商品や製品等を割引価格で提供することは、広く行なわれています。
会社が、役員または社員に自社商品や製品等を低額で譲渡した場合、通常の販売価額と譲渡価額との差額は、原則として給与となります。

ただし、自己の取り扱う商品や製品等(有価証券・食事を除きます)の値引販売により供与する経済的利益で、次の3つの要件に該当するものは課税されません。
  1. 値引販売に係る価額が、使用者の取得価額以上であり、かつ、通常の販売価額のおおむね70%以上であること
  2. 値引率が、役員もしくは使用人の全部につき一律に、またはこれらの者の地位、勤続年数等に応じて、全体として合理的な範囲内の格差を設けて定められていること
  3. 値引販売をする商品等の数量は、一般の消費者が自己のために通常消費する程度であること

(4)売れ残り品を廃棄処分する際の経理処理

年末商戦で売れ残り、返品もできない商品等を廃棄処分した場合は、「商品評価損」を計上することになります。
税務当局に当該処理を認めてもらうためには、実際に廃棄した事実を証明する証拠書類を整備しておく必要があります。
具体的には、廃棄処分に関する稟議書、廃棄処分した商品等のリスト、廃棄商品等の写真、廃棄物処理業者からの請求書・領収書などです。
なお、返品できそうな商品等については、販売見込価額などを考慮したうえで、仕入先に返品することも検討しましょう。

参考

〔給与等に係る経済的利益〕(国税庁)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm