最終更新日:2024年9月27日
(1)2024年度の最低賃金の改定
厚生労働省が、2024年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめました。
それによると、2024年度の全国加重平均額は1,055円(2023年度は1,004円)で、前年度比51円のアップとなりました。これは、前年度に続いて過去最大の引き上げ幅です。
最高額は、東京都の1,163円(2023年度は1,113円)で、次が神奈川県の1,162円(2023年度は1,112円)。最低額は、秋田県の951円(2023年度は897円)でした。
改定後の最低賃金額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続きを経たうえで、10月1日から順次発効(改定後の最低賃金額の効力が発生)します。各都道府県別の改定額と発効年月日については、厚生労働省のサイトを参照してください。
企業の担当者としては、発効日以降、自社の賃金額が改定後の最低賃金額を下回ることがないよう、十分に注意する必要があります。
なお、使用者は、最低賃金額、効力発生年月日等を作業場の見やすい場所に掲示するなどして、従業員に周知する義務があります。
(2)最低賃金法の基礎知識
「最低賃金法」は、賃金の最低限度額を定め、その賃金額以上を労働者に対して支払うことを使用者に義務づけています。
最低賃金額には「地域別最低賃金」と「産業別最低賃金(特定最低賃金)」の2種類があり、いずれか高いほうの最低賃金が適用されます。
《地域別最低賃金》
地域別最低賃金は、産業や職種に関係なく、都道府県別に設定されます。また、パートタイマー、アルバイト、嘱託などの雇用形態や呼称などを問わず、事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。
《産業別最低賃金》
産業別最低賃金は、特定地域内の特定の産業の基幹的労働者とその使用者に適用されます(18歳未満や65歳以上の労働者など、一部の労働者に対しては適用されません)。
なお、一般の労働者より著しく労働能力が低いなど、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれがある場合などには、最低賃金の減額の特例が認められます。
具体的には、次の労働者について、都道府県労働局長の許可を受けることを条件として、個別に最低賃金が減額されます。
- 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者
- 試用期間中の者
- 一定の職業訓練を受けている者のうち、厚生労働省令で定める者
- 軽易な業務に従事する者
- 断続的労働に従事する者
(3)最低賃金を支払わなかったときの罰則
最低賃金の定めに違反した場合には、罰則(罰金)があります。地域別最低賃金以上の賃金額を支払わない場合は50万円以下の罰金、産業別最低賃金以上の賃金額を支払わない場合は30万円以下の罰金に処せられます。
また、最低賃金額未満の賃金しか支払わなかった場合には、当然のことながら、最低賃金額との差額を支払う必要があります。