最終更新日:2023年11月27日
12月は賞与を支給する企業が多く、一般に年度末の3月に次いで退職者が多い月でもあります。賞与の支給後に退職する従業員がいる場合、健康保険・厚生年金保険の保険料の控除については特に注意が必要です。
そこで、退職時の保険料控除の留意点について解説します。
(1)月々の給与からの保険料控除の原則
まず、月々の給与からの保険料控除の原則的な取扱いを確認してみましょう。
従業員が負担する健康保険・厚生年金保険の保険料は、月単位で給与から控除し、毎月の給与から控除しているのは、前月分の保険料です。
従業員が退職した場合には、健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を失うことになりますが、ここで注意が必要なのは、退職日と被保険者資格を失う日(資格喪失日)には、1日のズレがあるということです。具体的には、退職日の翌日が資格喪失日となります。
そして、資格喪失日の属する月(資格喪失月)の前月分までの保険料を控除する必要があります。
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の喪失日
↓
退職日の翌日
資格喪失月の前月分までの保険料を控除
月末以外の退職日では、退職月と資格喪失月にズレは生じないのですが、月末退職の場合には、退職月と資格喪失月が異なることになります。これは、退職日の翌日が被保険者資格の喪失日になるためです。
12月に退職した場合を例に説明しましょう。
月末の12月31日に退職した場合、翌年の1月が資格喪失月となりますから、前月の12月分の保険料を控除しなければなりません。
・12月31日に退職
・資格喪失日は翌年1月1日
・資格喪失月は翌年1月
・資格喪失月の前月は12月
・12月分の保険料を控除
この場合、12月分の保険料は、1月に支給する給与がなければ、12月支給の給与から11月分の保険料と合わせて控除します。
一方、12月1日~30日までの間に退職した場合には、12月が資格喪失月となりますから、12月分の保険料を控除する必要はありません。
・12月1日~30日までの退職
・資格喪失日は12月2日~31日
・資格喪失月は12月
・資格喪失月の前月は11月
・11月分の保険料を控除
(2)賞与からの保険料控除と注意点
賞与からの保険料の控除についても、基本的な考え方は毎月の給与の場合と同じです。資格喪失月の前月分までを控除することになります。
・12月31日に退職
・資格喪失月は1月、資格喪失月の前月は12月
・12月に支給した賞与から保険料を控除
・12月1日~30日までの退職
・資格喪失月は12月、資格喪失月の前月は11月
・12月に支給した賞与からは保険料を控除しない
たとえば、賞与の支給日が12月10日で、退職日が12月20日という場合に、10日支給の賞与から保険料を控除することがないように注意してください。