最終更新日:2023年11月27日
12月は年末調整事務が無事に終了すれば一段落ですが、年末調整を実施した後、さまざまな事情により、年末調整のやり直しが必要になることがあります。
以下、年末調整のやり直しが必要になる主なケースをみていきましょう。
なお、やり直しをせず、従業員本人が確定申告を行なって税額の精算をすることもできます。
(1)控除対象扶養親族などに異動があった場合
所得税法では、その年の12月31日の現況により、控除対象扶養親族の有無、人数などの判定を行なうことになっています。
しかし、年末調整事務においては、年末調整を行なう日(最後の給与を支払う日)の現況で判断します。
そのため、年末調整を実施した後、たとえば子が結婚して控除対象扶養親族が減ったりした場合には、年末調整による税額と、その人が納めるべき本来の税額とが異なることになります。
このような場合には、年末調整のやり直しを行ないます。その際には、本人から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらう必要があります。
(2)本人や配偶者の所得が増減した場合
配偶者控除や配偶者特別控除は、年末調整を行なう日(最後の給与を支払う日)の現況によって見積もったその年の本人や配偶者の合計所得金額により判定します。
年末調整を実施した後、控除の適用を受けた配偶者や本人の合計所得金額の見積額と確定した合計所得金額に差異が生じ、控除額が変動する場合には、年末調整のやり直しをすることができます。
なお、配偶者控除または配偶者特別控除が受けられるのは、本人の合計所得金額が1,000万円以下で、合計所得金額が48万円以下または48万円超133万円以下の配偶者がいる者とされています。
(3)新たに保険料を支払った場合
年末調整を実施した後、その年の12月31日までに新たに生命保険料や地震保険料を支払った場合には、「給与所得者の保険料控除申告書」(以下、「保険料控除申告書」といいます)によって申告を受け、年末調整のやり直しをすることができます。
保険料控除申告書には、支払金額や控除を受けられることを証明する書類または電磁的記録印刷書面(会社が電子提出に対応していれば、電子データによる送信も可)の添付が必要です。
なお、2011年12月31日以前に締結した旧保険契約等で年間保険料が9,000円以下のものについては、証明書類は必要ありません。
(4)証明書類が提出されなかった場合
保険料の控除証明書を紛失するなどした従業員に対し、翌年1月末日までの証明書類の提出を条件として、便宜的に年末調整を行なうことが認められています。
この取扱いをした場合、期日までに証明書類が提出されればよいのですが、もし提出されないと、年末調整のやり直し(保険料控除額の再計算)を行なって、不足税額を徴収する必要があります。
このようなことにならないよう、必ず期日までに提出してもらいましょう。