最終更新日:2024年1月29日
(1)随時改定とは
社会保険料の算定の基礎となる標準報酬月額は、原則として毎年1回、見直しが行なわれます。この事務を「定時決定」といいます。定時決定により決まった標準報酬月額は、9月1日から翌年8月31日までの1年間有効です。
この定時決定の後、毎月の給与の額が変動しなければ問題ないのですが、昇(降)給等により変動した場合、各月の標準報酬月額と実際に受ける報酬額との間に、大きな乖離が生じてしまうことがあります。
そこで、被保険者の報酬額が昇(降)給等に伴って大幅に変動したときは、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定します。この事務を「随時改定」といいます。
随時改定は、次の3つの条件をすべて満たす場合に実施します。
- 昇給または降給等により固定的賃金(基本給等)に変動があったこと(時給から月給への変更など賃金体系の変更も含む)
- 変動月からの3か月間に支給された報酬(残業手当等を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額と、これまでの標準報酬月額との間に、2等級以上の差が生じたこと
- 3か月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上であること
これら随時改定の3要件をすべて満たした場合、変更後の給与を初めて受けた月から起算して4か月目の標準報酬月額から改定されます。たとえば、4月に支払われる給与に変動があった場合は、7月から改定されることになります。
なお、随時改定は、あくまでも固定的賃金が変動したときに行なわれるものですから、残業で一時的に時間外手当(非固定的賃金)が増加した場合などは対象外です。
(2)随時改定に関する手続き
随時改定に該当する場合、事業主は「被保険者報酬月額変更届」により新たな報酬月額等を届け出る必要があります。
新たな標準報酬月額は、6月以前に改定された場合、再び随時改定がない限り、その年の8月まで適用されます。7月以降に改定された場合は、再び随時改定がない限り、翌年の8月まで適用されることになります。