中小企業向け賃上げ促進税制の活用を考えてみませんか？

(1)「賃上げ促進税制」とは

歴史的ともいえる物価高のなかで、ことしは労使ともに例年以上の賃上げが必要との認識が高まっています。労働組合の全国中央組織である「連合」は、今春闘の賃上げ要求方針として、ベースアップ相当分として3％程度、定期昇給分と合わせて5％程度の賃上げを求めることを決定しました。
現在、中小企業の賃上げを促進する税制面の支援策として、「賃上げ促進税制」があります。これは、中小企業が前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税から税額控除できるというものです。
なお、賃上げ促進税制は、大企業や個人事業主も適用対象となりますが、以下では中小企業を前提に解説します。

(2)中小企業向け賃上げ促進税制の内容

中小企業向け賃上げ促進税制の内容は次のとおりです。

対象法人	資本金1億円以下の青色申告法人
適用期間	2022年4月1日から2024年3月31日までの間に開始する各事業年度
適用の必須要件と控除額	以下のいずれかの要件を満たすこと ①雇用者給与等支給額が前年度比2.5％以上増加 ②雇用者給与等支給額が前年度比1.5％以上増加
	①の場合→30％の税額控除 ②の場合→15％の税額控除
適用の追加要件と控除額	教育訓練費が前年度比10％以上増加 →10％の税額控除

必須要件の①または②を満たしたうえで、追加要件にも該当する場合には、10％の税額控除が上乗せされます。
したがって、最大で40％の税額控除を受けることが可能です（適用年度の法人税額の20％相当額が限度）。