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社員入社時に必要な社会保険・労働保険の手続き

2024年4月の総務豆知識

社員入社時に必要な社会保険・労働保険の手続き
最終更新日:2024年3月26日
4月に新入社員を迎えるにあたっては、事務用品の手配、備品の貸与、社員証の交付といった社内事務のほか、各種保険に加入するための手続き(法定事務)も行なわなければなりません。
新卒の新入社員を前提として、入社時に必要な保険の手続きを確認します。

(1)健康保険・厚生年金保険の加入要件と手続き

健康保険・厚生年金保険の適用事業所に常時使用される人は、国籍や性別にかかわらず、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などには関係なく、適用事業所で働き、使用関係(労務の対償として賃金を得ること)が常用的である状態をいいます。
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格の取得手続きは、後掲の表を参照してください。

(2)雇用保険の加入要件と手続き

次の要件に該当する人は、原則としてすべて雇用保険の被保険者となります。
  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 31日以上の雇用見込みがあること
したがって、新卒の新入社員であれば、当然これらの要件を満たしますから、雇用保険の被保険者となります。
雇用保険の被保険者資格の取得手続きは、後掲の表を参照してください。

なお、新卒の新入社員とは直接の関係はありませんが、参考までに「雇用保険マルチジョブホルダー制度」を紹介しておきます。これは、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、2つの事業所での勤務をまとめることで加入要件を満たす場合に、本人がハローワークに申出をした日から、特例的に雇用保険の被保険者となることができる制度です。通常の被保険者とは異なり、被保険者資格の取得・喪失の手続きは労働者本人が行ないます。
加入にあたって会社の同意は不要ですから、対象労働者から申出を受けた場合、会社は速やかに対応(手続きに必要な証明の提供など)する必要があります。

(3)労災保険の加入要件と手続き

労災事故は、雇用形態や労働時間等にかかわらず、労働者であれば誰にでも起こり得るものです。そのため、労災保険(労働者災害補償保険)の適用に前提条件はなく、労働者に該当すれば「強制加入」となります。
労災保険は無記名(個人単位ではなく人数)で加入するため、他の保険のように、被保険者資格を取得する手続きは必要ありません。


■新入社員の保険手続きの概要
項目 手続きの内容
健康保険・厚生年金保険
①「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」(以下、この項において取得届)の作成

取得届の様式(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20140718.files/0000002415.pdf

②取得届の提出
入社日から5日以内に、会社を管轄する年金事務所(または健康保険組合)に提出する。
③必要に応じて「健康保険被扶養者(異動)届」の作成
入社者に被扶養配偶者や被扶養家族がいる場合には、「健康保険被扶養者(異動)届」もあわせて作成・提出する。
これは「国民年金第3号被保険者関係届」も兼ねているので、被扶養配偶者の国民年金の第3号被保険者に関する手続きも行なうことができる。

「健康保険被扶養者(異動)届」兼「国民年金第3号被保険者関係届」の様式(日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20141224.files/01.pdf

④提出後の事務等
協会けんぽ等から「健康保険被保険者証」が、年金事務所から「健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書」が会社宛に交付される。被保険者証は新入社員に渡し、決定通知書は会社で保管する。
雇用保険
①「雇用保険被保険者資格取得届」(以下、この項において取得届)の作成

取得届の様式(ハローワーク)
https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=koyohohiLicenceLink

②取得届の提出
入社日の属する月の翌月10日までに、会社を管轄するハローワークに提出する。
③提出後の事務等
ハローワークから「雇用保険被保険者証」「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用・事業主通知用)」「雇用保険被保険者資格喪失届」が会社宛に交付される。被保険者証と確認通知書(被保険者通知用)は新入社員に渡し、確認通知書(事業主通知用)と資格喪失届は会社で保管する。
なお、現在の健康保険証は2024年12月2日をもって廃止されます。同日以降は、保険証の新規発行や再交付は行なわれず、マイナンバーカードと健康保険証が一体の「マイナ保険証」へ移行します(廃止時点で発行済みの健康保険証は、経過措置により廃止日から最長1年間は使用可能)。
これに伴って、2024年12月2日以降、健康保険証は発行されず、社員に渡す手間もなくなりますが、会社で健康保険の資格取得・喪失・扶養等の手続きを行なうことに変わりはありません。

(4)年金手帳の廃止と事務の変更点

2022年4月1日以降、年金手帳が廃止されました。2022年4月1日以降は、新たに年金制度に加入する人や、年金手帳を紛失等して再発行を受けようとする人に対しては、年金手帳に代わって、「基礎年金番号通知書」が交付されています。
また、2022年4月1日以降の従業員の採用等による資格取得手続きでは、個人番号(マイナンバー)による届出の場合、被保険者本人の年金手帳または基礎年金番号通知書の確認は不要です。