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残業や休日出勤をした場合の割増賃金の取扱い

2024年4月の総務豆知識

残業や休日出勤をした場合の割増賃金の取扱い
最終更新日:2024年3月26日
労働基準法は、休憩時間を除き、1週間について40時間を超えて労働させてはならない、1週間の各日について1日8時間を超えて労働させてはならない、としています。
一方で、労働基準法は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には、その労働組合と、過半数で組織する労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する者と書面による協定(三六協定)を結び、労働基準監督署長に届け出れば、労働時間を延長し、または休日に労働させることができるとしています。
そして、労働時間を延長し、または休日(法定休日)に労働させた場合には、所定の割増賃金を支払うことを企業に義務づけています。
時間外労働等の割増率は、法定時間外労働、深夜労働、休日(法定休日)労働、月60時間超の労働でそれぞれ異なることに注意が必要です。

(1)法定時間外労働をさせた場合

通常の労働時間または労働日の賃金額の25%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。

(2)深夜(午後10時から午前5時)に労働させた場合

同じく、25%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。

(3)休日(法定休日)に労働させた場合

同じく、35%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があります。
使用者は、労働者に対して、少なくとも1週間に1回または4週間に4日以上の休日を与えなければなりません。これを「法定休日」といいます。
土曜日と日曜日を休日としている週休2日制の会社では、いずれか1日が法定休日、他方が会社休日ということになります。
労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点から、法定休日(たとえば日曜日)と、それ以外の休日(たとえば土曜日や祝日)を明確に分けておくことが望ましいとされています。

(4)月60時間超の法定時間外労働をさせた場合

1か月の時間外労働の時間数が60時間を超えた部分については、50%以上の率で計算した割増賃金(以下、「50%割増」といいます)を支払う必要があります。この取扱いは、特に長い時間外労働を「強力に抑制すること」を目的としています。
なお、月60時間超の時間外労働の算定にあたっては、法定休日の労働は含まれません。法定休日労働を除く、月60時間超の法定時間外労働が対象となります。


■賃金の割増率早見表
労働の種類 賃金の割増率
法定時間外労働 25%以上
深夜労働 25%以上
法定休日労働 35%以上
月60時間超の法定時間外労働 50%以上
法定時間外労働+深夜労働 50%以上
法定休日労働+深夜労働 60%以上
月60時間超の法定時間外労働+深夜労働 75%以上
ちなみに、法定時間外労働の割増賃金は、1日8時間または1週40時間という法定労働時間を超えた場合に支払義務が発生します。
たとえば、1日の所定労働時間が7時間で、1時間の残業をした場合、1日の合計労働時間は8時間です。この場合、会社の所定労働時間を超えるという意味では「残業」をしていますが、1日の法定労働時間(8時間)は超えていませんから、労働基準法上の割増賃金の支払義務は生じません。
ただし、所定労働時間を超える1時間分について、会社が任意で割増賃金を支払うことは妨げられません。