最終更新日:2024年4月26日
個人住民税は、都道府県民税と市区町村民税を合わせた税金で、1月1日現在の居住地の市区町村で課税、徴収されるものです。
個人住民税の納付方法には、「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。
特別徴収とは、従業員(納税義務者)に代わり、事業主(給与支払者)が、6月~翌年5月の毎月の給与から個人住民税を差し引いて納付する制度です。
法人か個人かを問わず、事業主は特別徴収義務者として、すべての従業員について個人住民税を特別徴収する義務があります。アルバイトやパートタイマーであっても、要件に当てはまる場合には、特別徴収の対象となります。
一方、普通徴収とは、住民(従業員)が自ら、市区町村から送付される納税通知書により住民税を納付する方法をいいます。
(1)普通徴収が認められる場合
上記のとおり、従業員の住民税は特別徴収が大前提ですが、次の理由に該当する場合は、普通徴収とすることも認められています。
①給与を支給する総従業員数(他の市区町村を含む総従業員数で、下記②~⑥の理由に該当して普通徴収とする人を除く)が2人以下の事業所
②他の事業所から支給される給与から個人住民税が特別徴収されている人(給与所得の源泉徴収税額表の乙欄適用者)
③給与が少なく税額を差し引くことができない人
④給与の支払いが不定期の人
⑤専従者給与が支給されている人(個人事業主の親族など)
⑥退職した人、給与支払報告書を提出した年の5月31日までに退職予定の人、休職中の人
普通徴収に該当する従業員がいる場合には、市区町村に対して、給与支払報告書とともに、個人住民税の「普通徴収切替理由書」を提出します。提出期限は、毎年、1月31日です。
なお、住民税は事業主による特別徴収が原則ですから、上記の理由以外で、従業員が個々に徴収(納付)方法を選択することはできません。
また、会社の事務負担の増加や経理担当者の不在・不足など、会社の都合で特別徴収を行なわないことも認められません。
(2)退職者の住民税の徴収・納付方法
住民税は、6月から翌年5月までの給与から、年税額を12等分して控除しますが、特別徴収の対象者が退職した場合には、その退職時期に応じて住民税の未納税額の取扱いが異なります。具体的には、原則として次のとおりです。
退職時期 |
徴収・納付方法 |
6月1日から12月31日まで |
①普通徴収
原則として、特別徴収ができなくなる未納税額(翌年5月までの分)を普通徴収に切り替えて、退職する従業員が直接納付します。
②一括徴収
退職する従業員から一括徴収の申出があった場合には、退職時に支払う給与や退職金等から一括して特別徴収します。
③特別徴収の継続
退職する従業員から、転職先等で特別徴収を継続したい旨の申出があった場合には、すでに徴収した特別徴収税額等を記載した「給与所得者異動届出書」を作成し、転職先等(新しい特別徴収義務者)へ送付します。
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1月1日から4月30日まで |
①一括徴収
特別徴収の継続の申出がない場合には、退職時に支払う給与や退職金等から一括して未納税額(5月までの分)を徴収します。
②特別徴収の継続
同上
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5月1日から5月31日まで |
5月分を特別徴収すれば、未納税額はなくなります。 |