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欠損金の繰越控除制度を有効活用しましょう

2024年5月の経理豆知識

欠損金の繰越控除制度を有効活用しましょう
最終更新日:2024年4月26日
確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度で、青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、その各事業年度の損金の額に算入されます。

この欠損金の繰越控除を利用すれば、損失を翌年度以降に繰り越し、その後に生じた所得金額と相殺することによって課税所得を減らすことが可能になります。
つまり、将来の所得(黒字)と欠損金(赤字)を相殺し、将来納めるべき法人税等を少なくできるというメリットがあるのです。

なお、2018年3月31日以前に開始した事業年度に生じた欠損金額の繰越期間は、9年とされています。

(1)繰越控除が認められる法人

欠損金の繰越控除が認められるのは、欠損金額が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度に連続して確定申告書を提出している法人です。
欠損金額が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を提出していれば、その後に提出したものが白色申告書であっても、繰越控除の規定が適用されます。
ただし、特定支配関係を有する法人については、一部、繰越控除の規定が適用されません。

(2)繰越控除される欠損金額

繰越控除される欠損金額は、各事業年度開始の日前10年(2018年3月31日以前に開始した事業年度は9年)以内に開始した事業年度に生じた欠損金額です。
ただし、この欠損金額からは、繰越控除(の規定の適用)を受けようとする事業年度前の各事業年度の損金の額に算入された欠損金額と、「欠損金の繰戻しによる還付」の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となった欠損金額は除かれます。
また、損金の額に算入される欠損金額は、欠損金の繰越控除の規定を適用せずに計算した場合の、その事業年度の所得金額を限度とします。
繰越欠損金が2以上の事業年度で生じている場合には、最も古い事業年度に生じたものから順次、損金に算入します。

(3)繰越欠損金の損金算入の例

たとえば、繰越欠損金の額が300万円で、その事業年度の繰越欠損金控除前の所得金額が150万円の場合には、繰越欠損金300万円のうち150万円が損金の額に算入され、その事業年度の所得金額は0となります。

●繰越欠損金の損金算入の例

繰越欠損金の額:300万円
繰越欠損金控除前の所得金額:150万円
150万円を損金の額に算入
(その事業年度の所得金額が限度)
所得金額:0

(4)繰越欠損金の損金算入の制限

資本金1億円以下の中小法人は、所得金額の100%相当額の控除が可能ですが、一部の例外を除いて、資本金1億円超の法人の控除額は、それぞれ次の率を乗じた金額とされています。
開始する事業年度 控除率
2012年4月1日~2015年3月31日 100分の80
2015年4月1日~2016年3月31日 100分の65
2016年4月1日~2017年3月31日 100分の60
2017年4月1日~2018年3月31日 100分の55
2018年4月1日~ 100分の50
つまり、資本金1億円以下の中小法人は優遇されており、資本金1億円超の法人については100%控除することができず、控除額に制限があるということです。