最終更新日:2024年6月28日
厚生労働省では、職場における熱中症予防対策を徹底するため、5月から9月まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。
これから夏本番を迎え、熱中症のリスクも高くなります。熱中症と予防対策についての情報を集めてみましたので、参考にしてください。
(1)熱中症とは
「熱中症」は、高温多湿の環境下において、体内の水分と塩分のバランスが崩れたり、循環調節や体温調節などの体の重要な調整機能が破綻したりするなどして発症する障害の総称です。熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病の4つに分類されます。
具体的な症状としては、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感などがあります。さらにひどくなると、意識障害・けいれんなどを生じ、最悪の場合は死に至ります。
(2)熱中症と暑さ指数(WBGT)について
熱中症というと、どうしても日中の「最高気温」に目が行きがちですが、湿度にも要注意です。
湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなるため、体温が上昇して熱中症を発症しやすくなるからです。
また、気温と湿度のほか、輻射熱(地面や建物、体から出る熱)や風(気流)も熱中症に関係してきます。
そこで、重視したいのが「暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)」です。暑さ指数は、人体の熱収支に与える影響の大きい「湿度」「日射・輻射など周辺の熱環境」「気温」の3要素を取り入れた指標です。
暑さ指数が高い時に熱中症が起こりやすいため、この指数が労働現場や運動、日常生活での熱中症予防の目安として使われます。
たとえば、運動については、暑さ指数31以上で「運動は原則中止」、28以上31未満で「厳重警戒(激しい運動は中止)」などの指針が設けられています。
暑さ指数の実況と予測は、環境省の「熱中症予防情報サイト」で確認することができます。
また、熱中症予防情報サイトでは、「熱中症警戒アラート」「熱中症特別警戒アラート」が発表されます。
「熱中症特別警戒アラート」は、従来の「熱中症警戒アラート」より一段階上の警戒情報で、ことし4月から運用が始まりました。
熱中症特別警戒アラート・熱中症警戒アラートが発表される目安は次のとおりです。
熱中症警戒アラート |
府県予報区等内において、いずれかの暑さ指数情報提供地点における、翌日・当日の日最高暑さ指数が33(予測値)に達する場合に発表される |
熱中症特別警戒アラート |
都道府県内において、すべての暑さ指数情報提供地点における、翌日の日最高暑さ指数が35(予測値)に達する場合等に発表される |
(3)熱中症を防ぐために
どんなに対策を施しても熱中症のリスクをゼロにはできませんが、正しい予防方法・知識を身につけて、普段から注意することが大切です。
以下、主な予防策をチェックリストにしたので、参考にしてください。
項目 |
チェック |
・WBGT値の低減に努めているか? |
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・熱への順化期間(暑さに慣れる期間)を設けているか? |
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・こまめに水を、適度に塩分を摂取しているか? |
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・通気性のよい服を着ているか? |
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・十分に睡眠をとっているか? |
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・疲れの蓄積、体調不良はないか? |
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・帽子、日傘を活用しているか? |
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・暑さに負けない身体作りを心掛けているか? |
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・気象情報をこまめにチェックしているか? |
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・過度のアルコール摂取を控えているか? |
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・規則正しくバランスのよい食事をとっているか? |
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・「冷却グッズ」(冷却シートなど)を活用しているか? |
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(4)熱中症予防とマスク着用の留意点
まだコロナが収束したとはいえない状況ですが、現在、マスクの着用は個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となっています。
高温・多湿の環境下でマスクを着用すると、心拍数や呼吸数、体感温度が上昇するなど身体に負担がかかり、熱中症のリスクが高くなるおそれがあります。
マスクを着用する場合には、体に強い負荷のかかる作業等は避け、こまめな水分補給を心がけることが大切です。
厚生労働省の「マスク着用の考え方」を参考に、熱中症予防の観点も踏まえて、適切なマスク着用を心がけましょう。
最後に、熱中症の予防や情報収集に役立つサイトをいくつか挙げておきます。