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「副業・兼業の促進に関するガイドライン」による労働時間と健康の管理

2024年9月の総務豆知識

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」による労働時間と健康の管理
最終更新日:2024年8月29日
近年、副業・兼業を行なう人は増加傾向にあります。
労働者が副業・兼業を行なう理由としては、自分がやりたい仕事であること、スキルアップ、十分な収入の確保などが挙げられ、また副業・兼業の形態も、正社員、パートタイマー・アルバイト、業務委託、請負、起業による自営などさまざまです。
多くの企業では、まだ副業・兼業を認めていないのが実情ですが、自社の社員の副業・兼業は、企業にとっても次のようなメリットが見込まれます。

・社内では得られない知識・スキルを社員が獲得することができる

・優秀な人材の確保や退職の防止を図ることができる

・社員が社外から新たな情報を得たり、人脈を構築したりすることにより、業績の向上、企業の発展につながる

一方、副業・兼業については、自社と副業・兼業先を合わせた労働時間の把握・管理、健康管理への対応、職務専念義務や秘密保持義務、競業避止義務の確保といった課題(留意点)もあります。

厚生労働省では、労働者が安心して副業・兼業ができるようルールを明確化するため、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を定めています。 以下では、特に労働時間の通算管理と健康管理について、その内容を確認してみましょう。

(1)労働時間の通算管理について

労働基準法38条1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定しています。
ガイドラインでは、事業主を異にする複数の事業場で、「労働基準法に定められた労働時間規制が適用される労働者」に該当する場合には、労働基準法38条1項により、それらの複数の事業場における労働時間は通算されるとしています。
したがって、労働者が雇用される形で副業・兼業を行なう場合は、原則として、自社と副業・兼業先の労働時間を通算して管理する必要があります。
労働時間の通算方法は2通りで、原則的な方法と簡便な方法(「管理モデル」といいます)があります。
管理モデルとは、副業・兼業の日数が多い場合や、自社と副業・兼業先の双方で所定外労働がある場合などに、労働時間の通算管理等の負荷を軽くしながら、労働基準法上の規定が遵守されやすくなる方法です。
2通りの方法のうち、自社で取り入れやすい方法を採用し、自社と副業・兼業先の労働時間を確実に通算するようにしましょう。
そのほか、ガイドラインでは、労働時間や時間外労働が通算されるケース、通算されないケースなどが例示されています。

(2)健康管理

副業・兼業を進めるうえでは、長時間労働になって労働者の健康が阻害されないよう、過重労働を防止することや健康確保を図ることが重要になります。
ガイドラインでは、使用者は、労働者が副業・兼業をしているか否かにかかわらず、労働安全衛生法等に基づき、健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェック等の措置を実施しなければならないとしています。
また、健康確保の観点から、他の事業場における労働時間と通算して適用される時間外労働の上限規制を遵守することなども求めています。
副業・兼業にあたっては、労使で十分にコミュニケーションを図り、労働者の健康確保に必要な措置を講じることが大切です。

なお、ガイドラインの補足資料として、『「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&A』もありますので、参考にしてください。