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脳・心臓疾患の労災認定基準の改正から3年! その後の状況は?

2024年10月の総務豆知識

脳・心臓疾患の労災認定基準の改正から3年! その後の状況は?
最終更新日:2024年9月27日
厚生労働省が取りまとめた令和5年度「過労死等の労災補償状況」によると、脳・心臓疾患に関する事案の労災請求件数は1,023件(前年度比220件の増加)、支給決定件数は216件(前年度比22件の増加)となっています。

請求件数、支給決定件数ともに増加した背景には、3年前に改正された「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」(令和3年9月14日基発第0914第1号)の影響があるのかもしれません。 労災の認定基準のうち、改正後も、以下については改正前の基準が維持されています。
(1)労働時間について

・発症前1か月間に100時間または2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働(いわゆる過労死ライン)は、発症との関連性は強い

・時間外労働が月45時間を超えて長くなるほど関連性は強まる

・発症前1~6か月間平均で月45時間以内の時間外労働は、発症との関連性は弱い

(2)労働時間以外の負荷要因について

・拘束時間が長い勤務、出張の多い業務など

改正により、新たに取り入れられた認定(判断)基準等は次のとおりです。
(1)労働時間について

・時間外労働が「発症前1か月間に100時間または2~6か月間平均で月80時間超」の水準には至らないが、「これに近い時間外労働」+「一定の労働時間以外の負荷」は、業務と発症との関連が強いと評価

(2)労働時間以外の負荷要因について

・「勤務間インターバルが短い勤務」「身体的負荷を伴う業務」などを評価対象として追加

(3)業務と発症との関連性が強いと判断できる場合について

・業務と発症との関連性が強いと判断できる場合として、「発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行なうなど、過度の長時間労働が認められる場合」などを例示(明確化)

(4)対象疾病の追加

・認定基準の対象疾病に、「重篤な心不全」を追加

働き方改革関連法などにより、労働環境の改善は徐々に進んでいますが、残念ながら過労死と認定される事案は後を絶ちません。
企業としては、さらなる過重労働の防止などに取り組んでいく必要があるでしょう。

なお、昨年9月1日に心理的負荷による精神障害の労災認定基準が改正されていることにも注意してください。

参考

令和5年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40975.html