最終更新日:2024年1月29日
会社を退職した後も最長で2年間、在職していたときの健康保険に継続して加入できるのが、健康保険任意継続制度です。
この健康保険任意継続制度について、その概要を確認してみましょう。
(1)健康保険任意継続制度の概要
従業員が退職した場合、退職後に加入する健康保険は、次のいずれかになります。
- 任意継続健康保険
- 国民健康保険
- 家族の健康保険(被扶養者)
任意継続健康保険について、任意継続被保険者となるための要件は次のとおりです。
- 資格喪失日の前日までに「継続して2か月以上の被保険者期間」があること
- 資格喪失日から「20日以内」に、保険者(協会けんぽ等)に申請すること
また、任意継続被保険者の資格喪失事由は、次のいずれかとされています。
- 任意継続被保険者となった日から2年を経過したとき
- 保険料を納付期日までに納付しなかったとき
- 就職して、健康保険、船員保険の被保険者となったとき
- 後期高齢者医療の被保険者等となったとき
- 被保険者が死亡したとき
- 任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を保険者に申し出て、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したとき
これら以外の事由による資格喪失は認められません。
(2)2022年からの改正内容
①任意継続健康保険の任意脱退が可能に
2021年までは、いったん任意継続被保険者になると、2年間は任意継続健康保険に加入し続ける必要がありました(いわゆる任意継続健康保険の「2年縛り」)。
しかし、2022年1月からは、資格喪失事由に「任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出たとき」が加わりました。
これにより、任意継続被保険者は、希望すればいつでも(申出が受理された日の属する月の翌月1日から)、「国民健康保険に入りたい」「家族の扶養に入りたい」といった理由での脱退が可能になりました。
人事 ・総務担当者は、従業員の退職に際して、退職後の健康保険や保険料負担について相談を受けることもあると思われます。退職者の事情や希望を踏まえて、適切なアドバイスをするようにしてください。
②任意継続被保険者の保険料の見直し(健康保険組合)
任意継続健康保険の保険料は、原則として、対象者の資格喪失時の標準報酬月額と、全被保険者の平均標準報酬月額のいずれか低いほうに基づいて決定されます。
2022年1月からは、健康保険組合の規約に定めることにより、対象者の資格喪失時の標準報酬月額が、全被保険者の平均標準報酬月額より高い場合であっても、資格喪失時の標準報酬月額に基づいて保険料を決定することが可能になりました。
なお、これは健康保険組合についてのみの改正です(協会けんぽには適用されません)。