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なぜ、儲からない? ヤバい会社に共通する5つの傾向

2021年5月20日更新

なぜ、儲からない? ヤバい会社に共通する5つの傾向

経営改善の基本は「入るを量りて出ずるを制す」ことから

PICK UP書籍:知らないとヤバい「原価」と「黒字」の法則

市場がめまぐるしく変化するなか、ビジネスモデルを見直したり、商品やサービスのテコ入れをして売上を伸ばしているのに、いくら売っても「儲け」が出ない会社があります。いったい、なぜなのでしょう? 公認会計士・税理士の梅田泰宏氏は「厳しいときこそ、正しいコスト(原価)意識を持つことが大切」と説きます。どうやら、経営の原点に立ち返る必要がありそうです。

※本稿は『知らないとヤバい「原価」と「黒字」の法則』をもとに一部抜粋・再編集しています。

経営不振につながる「ヤバい状態」

まず、みなさんのお店や会社の現状について思い起こしてみましょう。
日々の業務におわれ、こんな状態を放置していませんか?
□削ってはいけないコストを削って利益を減らしている
□接待交際費の基準が曖昧なうえ、業界平均値よりも多い
では、営業や販売のほうはいかがですか?
とにかく数字を出そうと、どこかでムリをしていないでしょうか。
□「売ることが仕事だから」と原価に無関心なまま
□原価割れになるような値引きをして売上を上げている
□原価を下げようと大量生産をして売れ残っている
これらのうち、1つでも思い当たることがあるなら要注意。
そう、これらはすべて経営的にみて「ヤバい人」「ヤバい会社」の特徴です。

「入るを量りて出ずるを制す」の実践

会社が利益を上げるには、簡単にいえば、次の2つの方法があります。
①売上を上げる
②コスト(原価)を下げる
とはいえ、現状のまま、売上をアップさせるのはなかなか難しい状況です。そこで、コストダウンが必要になってきます。「入(い)るを量りて出(い)ずるを制す(収入を正しく把握し、それに見合った支出をする)」——古くからいわれてきたとおりですね。

戦後最長といわれた日本の景気拡大は、実は、2018年の10月に景気の山を迎えていたといわれているものの、その前の景気の山から71か月だったので、戦後最長記録の更新にはならなかったようです。

この景気拡大期間は、個人の所得が伸びず、個人消費も伸び悩む「実感なき景気拡大」でしたが、それに輪をかけるように、日本は景気後退局面に入っているわけです。

その景気後退に追い討ちをかけるように、経験したことのない大きな災害や、これも経験したことがない世界的な感染症の流行などが続きました。しかし、それらがなかったとしても、日本の景気後退の状況に変わりはなかったことでしょう。

このような経済情勢で、いま企業に求められているのは「コスト・マネジメント(原価管理)」の視点です。売上が伸びず、かといって価格を下げて売ろうとすれば、今度は利益が減ってしまいます。

利益を確保するには、コスト(原価)をきちんと管理し、コストダウンを図るしかありません。これまで原価に無関心だった営業職の人も、総務・労務・経理といった事務職の人も、原価に対する強い意識、すなわち「コスト意識」を持つことが求められているのです。この状況は当分の間、変わらないでしょう。

原価がわかると何が変わる?

では、原価のしくみがわかると、どんなメリットがあるのでしょうか。これまで気づかなかったことがみえるようになり、たとえば、次のような可能性が生まれます。

①間違いのない値決めや値引きができる
モノの値段というのは、簡単にいえば、原価に売る側が期待する利益を乗せたものです。原価がわかれば間違いのない、利益が出る価格設定ができます。また、営業の現場などでは、どこまで値引きしても大丈夫か、利益が出るか、きちんと判断することが可能です。

②上手なコストダウンができる
原価は、ひとかたまりのものではなく、いくつかの要素の組み合わせです。原価の中身がわかると、「どの要素の原価低減が可能か」「どこをコストダウンすれば効果的か」などが、わかるようになります。行き当たりばったりではなく、効果的で上手なコストダウンができるようになるわけです。

③ビジネスで「儲かる」しくみをつくれる
間違いのない値決めや値引きができて、上手なコストダウンができれば、あとは売上を上げるだけです。売上を上げるのも簡単ではありませんが、原価を正しくとらえていれば、結果はしっかりついてきます。つまり、売上が上がるほど、利益が順調に増えるという、ビジネスで「儲かる」しくみがつくれるのです。

④いろいろなビジネスのしくみをスッキリ理解できる
よくいわれる「大量生産のメリット」などは、原価がわかるとスッキリ理解できます。知らない人には、わかりやすく説明してあげることもできるでしょう。また、原価のしくみを紐解くことで自分の人件費のしくみなどもわかり、コスト意識を持って会社の利益に貢献することができるようになります。
「原価」と聞くと、何やら難しい数字や計算式を操って、面倒な集計をいろいろと重ねているイメージがあるかもしれませんが、大切なのは「どんな考え方をしているのか」「どう上手に管理するのか」ということなのです。

『知らないとヤバい「原価」と「黒字」の法則』は、原価のしくみを一から学べるストーリー形式の入門書。舞台となる製パン会社は、一見儲かっていそうなのに、実は採算度外視の経営で赤字続き。(このままではダメになる!)と奮起した若手社員の高井ケイ子は、社内を駆け回って情報収集。ビジネスに必要なコスト意識を身につけながら、改善策を探ります。

著者プロフィール:梅田 泰宏(うめだ やすひろ)
1954年東京生まれ。公認会計士・税理士。中央大学商学部卒業。監査法人中央会計事務所(現・みすず監査法人)を経て1983年梅田公認会計事務所を設立。2004年社会保険労務士、司法書士との合同事務所「キャッスルロック・パートナーズ」を設立。現在、約250社に及ぶ様々な業種の中堅・中小企業並びに外資系現地法人に対し、財務指導から税務業務まで幅広くサポートしている。

2021/1/29発行
A5判/並製
208頁

知らないとヤバい「原価」と「黒字」の法則

原価のことがわかれば黒字になるしくみもわかる! 原価にドシロウトの若手社員が、経理部長、製造部長、工場長などに「会社のコスト」を根ほり葉ほり聞き出すストーリー形式で「原価のからくり」を解説。読んだその日からコスト意識が身につく1冊。
著者:梅田 泰宏
価格:1,760円(税込)
ISBN:4-534-05831-7
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