PICK UP書籍:経済指標 読み方がわかる事典
原油は経済に大きな影響を与えるコモディティ
コモディティというと、人によっては想像するものが違うと思いますが、経済や投資の世界では原油や金などを指すことが多いです。原油や金は投資対象にもなりますし、実際の経済活動でも使われるエネルギーや原材料でもあります。原油が高騰するとどのような影響があるか?
原油価格が高騰すると、そこからどのような影響が波及していくのでしょうか?原油価格を確認するための経済指標の読み方
原油価格を先読みするときに重要となるのが、原油在庫量です。この原油在庫量は下の2つの手順で確認することができます。1.原油在庫を確認する
アメリカエネルギー省のエネルギー情報管理局が、WPSR(Weekly Petroleum Status Report:週間石油状況報告)で、原油だけでなく、主要な石油製品の価格や在庫量の情報を公表しています。これは少なくとも1,000バレルの原油を貯蔵することができるパイプラインや製油所を除く原油販売店などから集めたデータをもとに作られています。2.戦略備蓄分を除いた在庫量の推移を見る
原油在庫量を見るときは、戦略備蓄分を除いた在庫量の推移、変化を見ましょう。戦略備蓄分は英語で「SPR(Strategic Petroleum Reserve)」と記載されます。戦略備蓄分は、緊急時にのみ放出される在庫のため、これを除いた在庫量の変化こそが原油価格に影響を与えます。在庫が少なくなれば原油価格は上昇し、逆に在庫が増えると下降しやすくなります。日本は原油価格の上昇が商品の価格に反映されにくい
原油価格の上昇は、幅広いモノやサービスに対して価格上昇圧力を与えます。たとえば、燃料価格の上昇により物流費が増加したり、商品を包装するフィルムの値段が上昇したりすることで、スーパーなどで販売される商品の価格上昇にもつながります。さらに、重油価格の上昇によって、ビニールハウスを温めるボイラーを稼働させる費用が上昇し、果物の値段が上昇することもあります。原油価格の上昇を把握するには企業物価指数を見る
日本において、原油価格の上昇によりインフレ懸念を把握するためには、企業物価指数を確認する必要があります。企業物価指数のなかには、素原材料や中間財の価格データも掲載されており、原油価格の上昇による世界的なインフレの懸念がデータに反映されるからです。物価といえば消費者物価指数を確認することが一般的ですが、日本の場合は前述したような特異な理由があるため、企業物価指数も同時に確認するようにしましょう。投資をするときのポイント
戦略備蓄分を除いた原油在庫量を確認することで、今後の原油価格の推移を予測しやすくなります。景気が悪化して需要がなくなれば在庫量が増加することで需給も悪化し、原油価格が下落するといったシナリオを立てられるのです。原油価格が上昇することで、幅広い業種にわたる企業のコストを押し上げるため、原油価格の変動を正確に予測することは投資家にとって、とても重要です。また、原油価格自体を投資対象とするETFや投資信託も存在するため、原油価格の変動を予測できれば、そこにもリターンを期待できるのです。経済指標 読み方がわかる事典